利用報告書

硫化物半導体ナノ粒子の光学特性の研究
濱中 泰,宮川 和樹,深田 純,Chen Shijia,松本 小次郎
名古屋工業大学大学院工学研究科

課題番号 :S-18-MS-1014
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :硫化物半導体ナノ粒子の光学特性の研究
Program Title (English) :Spectroscopic analysis of various sulfide semiconductor nanoparticles
利用者名(日本語) :濱中 泰,宮川 和樹,深田 純,Chen Shijia,松本 小次郎
Username (English) :Y. Hamanaka, K. Miyagawa, J. Fukada, S. Chen, K. Matsumoto
所属名(日本語) :名古屋工業大学大学院工学研究科
Affiliation (English) : Nagoya Institute of Technology

1.概要(Summary )
 1)AgInS2-ZnS混晶半導体ナノ粒子の発光スペクトル/発光励起スペクトルを解析して,混晶比に依存する電子状態の変化を調査する。2)CuxSナノ粒子の高濃度の正孔に起因する局在プラズモンにおける近接場光増強効果を調べるため,三次非線形感受率を測定する。3)Cu2ZnSnS4(CZTS)ナノ粒子とCu2ZnGeS4(CZGS)ナノ粒子を任意の比率で混合して作製したCZTS-CZGS混晶(Cu2Zn(Sn1-xGex)S4,以後CZTGS)半導体薄膜の化学結合の情報をラマン分光により得る。

2.実験(Experimental)
AgInS2-ZnS混晶ナノ粒子の発光スペクトルと発光励起スペクトルを,蛍光分光装置(Horiba SPEX Fluorolog3-21)で測定した。CuxSナノ粒子の三次非線形感受率の測定には,光源としてピコ秒レーザーシステム(Spectra Physics Quantronix Millennia-Tsunami TITAN TOPAS)を使用した。これらのナノ粒子の溶媒分散試料の濃度調整には,紫外・可視・近赤外分光光度計(ShimadzuUV-3600Plus)を使用した。
顕微ラマン分光装置(RENISHAW in Via Reflex)を用いて,CZTGS薄膜のラマンスペクトルを測定した。試料は液体ヘリウムクライオスタット(オックスフォード社マイクロスタット)に入れて約10 Kに冷却した。励起光の波長は,488,532,633,785nmとした。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 AgInS2-ZnS混晶ナノ粒子の発光ピークエネルギーとバンドギャップは,ともにZnS/AgInS2比の増加につれて増加した。混晶のバンドギャップに関してベガード則がおおむね成立していることがわかった。
CZTS,CZGSのラマンスペクトルにおいて最も強いピークを与えるA1モードは,結晶格子中でS原子だけが動くモードであり,SはCu,Zn,Sn,Geと結合を形成しているので,振動数はCZTSよりもCZGSの方が高い。CZTGSに対して観測されたA1モードは2本に分裂しており,Ge/Sn比の増加と共に高振動数側にシフトした。モードの分裂はSnまたはGeと結合した二種類のSが存在することを反映しているので,薄膜中でCZTSとCZGSが相分離せず混晶を形成していることがわかった。
CuxSナノ粒子の三次非線形感受率の測定については,信頼に足るデータを得ることができなかった。レーザー出力の時間的な不安定性とビームプロファイルの劣化が原因と考えている。

4.その他・特記事項(Others)
蛍光分光装置の使用にあたっては上田正氏にパーツ交換等のご支援を頂きました。また,同氏にはピコ秒レーザーの調整にご尽力頂いきました。ラマン分光装置の使用にあたっては,売市幹大氏に懇切なご指導をいただきました。両氏に深く感謝申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1)松本小次郎,濱中 泰,高瀬友悠,「異種ナノ粒子の混合溶液を用いたCu2Zn(Sn1-xGex)S4混晶薄膜の作製Ⅱ」,第79回応用物理学会秋季学術講演会,平成30年9月19日
(2) Y. Hamanaka and T. Kuzuya, “Colloidal Synthesis and Spectroscopic Characterization of Luminescent Cd-free Chalcopyrite Semiconductor Nanocrystals”, THERMEC2018, 平成30年7月11日(invited)

6.関連特許(Patent)
なし

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