利用報告書
課題番号 :S-17-MS-1008
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :神経細胞ネットワークハイスループットスクリーニング装置の開発
ProgramTitle(English) :Development of neuron network high throughput screening device
利用者名(日本語) :王志宏1,2),宇野秀隆1,2),栗田裕子1,2),宇理須恒雄1,2)
Username(English) :Zhi-Hong Wang1,2), Hidetaka Uno1,2), Yuko Kurita1,2),Tsuneo Urisu1,2)
所属名(日本語) :1)名古屋大学未来社会創造機構,2)JST-CREST
Affiliation (English) :1)Nagoya Univ., 2 JST-CREST
1.概要(Summary)
神経変性疾患の原因解明や創薬に必須のハイスループットスクリーニング装置を開発し、神経変性疾患の原因解明や創薬の研究を進める。これらの難病には、神経細胞の核内化学反応が関与していると考えているが、細胞核内化学反応は自然科学の未踏の領域で、分子科学の最先端の研究領域である。本装置の利用にあたり、遺伝子導入、遺伝子編集を中心とする分子生物学手法を駆使し、ナノイメージング、イオンチャンネル電流計測などを進める。分子科学の最先端技術の開発に必然的に貢献することとなる。装置開発にあたっては、2 ミクロン微細貫通穴を持つ基板開発が最も困難な技術課題の一つで、シリコン基板へのアスペクト比10以上の微細貫通穴加工技術を開発する必要がある。これらの構造の形成は装置開発室の施設利用および名古屋大学の微細加工ナノプラットフォームの設備を利用して行っているが、構造の評価が必須で、この評価を、機器センターのナノプラットフォームの走査型電子顕微鏡(SU6600), FIBおよびEDXで行った。微細貫通穴加工においては、基板裏面の径150-200μmの穴加工がSOIのBOX層(SiO2層)にどの程度到達しているかの判定が必要な場合があり、そのような場合しばしばEDXによる評価が有効となる。いずれの測定も高度な技術を必要とするため、機器センターの設備を利用して進めた。
2.実験(Experimental)
図1に示す、プレナーパッチクランプチップについて、SEM, FIB,EDXによる構造評価を行った。SEM写真を
図1(b)に示す。微細貫通穴の構造評価については、FIBにより断面構造を削り出し、FIBにより、図2に示す写真を撮った
3.結果と考察(Results and Discussion)
ほぼ予定した構造が製作されていることが分かった。
微細貫通穴の直径約2.6 µmについては、2µmくらいまで小さくしてみたいと考えており、来年度挑戦したい。その場合、また、機器センターの協力が必須ですので、よろしくお願いいたします。
4.その他・特記事項(Others)
・謝辞: SEM, FIB, EDX などの高度な技術を必要とする装置について、中尾聡研究員が実質的に測定をしてくださり、心より感謝いたします。
・競争的資金名:CREST「培養型プレーナーパッチクランプ」
・他の大学との共同研究:北陸先端科学技術大学院大学、高村禅教授。 名古屋大学大学院医学系研究科、石垣診祐助教、自然科学研究機構分子科学研究所、高田紀子、近藤聖彦技術課職員
分子研協力研究(ナノテクノロジープラットフォーム)
課題番号:S-17-MS-0011
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1)王志宏、宇野秀隆、栗田裕子、中尾聡、熊澤正幸、高村禅、宇理須恒雄「単一細胞解析用抽出基板における微細貫通孔の微細構造制御」 ナノ学会第15回大会、2017年5月10-12日、札幌、北海道
(2)王志宏,宇野秀隆,栗田裕子,高田紀子,中尾聡, 上田正,浮田芳昭,高村禅,中山章弘,宇理須恒雄 「培養型プレナーパッチクランプの製作と自発的シナプス電流測定への応用」応用物理学会春季学術講演会, 2018年3月17日~3月20日, 東京, 日本