利用報告書

神経細胞ネットワーク機能超解像解析装置の開発
宇理須恒雄、長岡靖崇(株式会社NANORUS)

課題番号 :S-20-MS-3005
利用形態 :施設利用
利用課題名(日本語) :神経細胞ネットワーク機能超解像解析装置の開発
Program Title (English) :Development of neuronal network function super resolution analyser
利用者名(日本語) :宇理須恒雄、長岡靖崇
Username (English) :T. Urisu, Y. Nagaoka
所属名(日本語) :株式会社NANORUS
Affiliation (English) :NANORUS Co., Ltd.

1.概要(Summary )
神経変性疾患、発達障害、精神病、最近では新型コロナによる神経疾患など、脳神経にかかわる難病は多数あるが、いまだに原因不明、治療法不明である。その最大の理由は、精密高精度な病態の解析技術の不在による。我々は、ピペットパッチクランプは脳神経細胞の各種難病の異常をきわめて明瞭に表現できるにもかかわらず、神経細胞ネットワークの複雑性のため、病態を解明するためには、多点同時計測が必要にも関わらず、それができないことに原因があることに気づき、パッチクランプの多点同時計測技術の開発実用化を目的として、Si基板や、マクロ流路の開発とこれらを用いた細胞培養実験などを進める。。

2.実験(Experimental)
マスクレス露光装置、クリーンルーム、ドラフト
などを利用して、Si基板の表面への各種パタンの形成をすすめた。また、製作したSi基板のピラニア洗浄を行い、自社の研究所に持ちかえり、神経細胞やグリア細胞の培養を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
ピラニア洗浄終了後のSi基板を利用し、以下の実験を行なった。
神経幹細胞を購入し、これを培養により増殖し液体窒素中に凍結保存する技術を開発するとともに、この一部をデイッシュに播種し、これを100%グリア細胞に分化誘導しグリア細胞のシートをデイッシュ内に形成する技術を開発した。そして、解剖によりラット大脳皮質を採取しプレーナーパッチクランプSi基板表面に播種吸着させ、グリア細胞シートに隙間0.5mmで対向させて一定期間培養し、Si基板表面にグリア細胞がほとんど存在しない神経細胞ネットワークを形成することに成功した。別培養技術の説明と実験結果を下図に示す。

4.その他・特記事項(Others)
ラットの解剖実験は生命創成探究センターの富永真琴教授との共同研究で行った。お世話をくださった、福田技術職員およびSandro博士に感謝します。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
論文発表にはまだ成果が十分ではなく発表できませんでした。
学会発表は、2021年度に、日中ナノメデイシン国際交流や、14thナノメデイシン国際シンポジウムで発表予定。

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