利用報告書
課題番号 :S-16-KU-0016
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :竹炭によるセシウムイオンの吸着除去
Program Title (English) :Adsorptive removal of cesium ions by bamboo charcoal
利用者名(日本語) :Shahjalal Khandaker, 久場 隆広
Username (English) :S.Khandaker, T. Kuba
所属名(日本語) :九州大学大学院工学研究院 環境社会部門
Affiliation (English) :Department of Urban and Environmental Engineering, Faculty of Engineering,
Kyushu University
1.概要(Summary )
表面処理による竹炭のセシウムイオン吸着能の向上、及びその吸着メカニズムの解明についての研究を行う。セシウムイオン除去は放射線汚染物質の除去の観点から緊急の課題である。ゼオライトやカーボン粉末に代表される多孔性材料はセシウムイオン吸着能に優れていることが知られている。特にカーボン粉末は原料が安価であり、また土壌に残しても問題ないことから注目されている。カーボン粉末の中でも竹炭由来のカーボンは細孔径が小さく比表面積が大きい優れた吸着材料であることが知られている。
そこで本研究では竹炭由来のカーボン粉末の細孔分布や比表面積を測定し、作製条件や原料産地の違いによる違いを解析することを目的とする。
2.実験(Experimental)
3種類の処理方法の異なる試料(BC、BC-AO、BC-ACにおける比表面積を触媒活性表面測定システム(日本ベル社製、自動比表面積/細孔分布測定装置BELSORP-miniⅡ)で測定した。また炭素材料の表面元素分析を電子状態測定システム(島津製作所社製、AXIS-ULTRA)で測定した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
3種類の竹炭由来カーボンについて窒素吸着測定を行った。吸着水等を除去する前処理を①120℃、24Hr 、②200℃、6Hr、③200℃、24Hrと変えて測定を行ったが、窒素吸着の平衡に達する時間が非常に長く、測定が終了できない問題が生じた。このような現象はマイクロ孔が発達し、極めてポア径が小さい場合に生じることが多い。そこでプローブ分子をCO2に変更して測定を実施した。その結果、図1左のようにマイクロポアが大きく発達していることが明らかとなった。Arをプローブとした際の比較(図1右)から、とくにBC-ACはマイクロ孔のみからなるユニークな構造であることが明らかとなった。
図1.(左)CO2および(右)Arをプローブ分子とした際のガス吸着測定プロファイル
それぞれのXPS測定の結果から
【BC】C : N : O = 87.55 : 0.44 : 12.01
【BC-AO】C : N : O = 87.83 : 0.51 : 11.66
【BC-AC】C : N : O = 69.59 : 2.23 : 28.17
となり、BC-ACは窒素を多く含む原料に近い構造であることも明らかとなった。
4.その他・特記事項(Others)
炭素試料の前処理加熱および窒素吸着測定、XPS測定は九州大学分子物質合成ナノテクプラットフォームの柿田有理子氏に実施頂いた。また、CO2プローブを用いた測定はマイクロトラックベル株式会社堀尾氏のご協力を頂いた。ここに謝意を示す。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。