利用報告書

粘土鉱物試料における化学構造の評価
勝見尚也
石川県立大学

課題番号 :S-19-JI-0036
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :粘土鉱物試料における化学構造の評価
Program Title (English) :Evaluation of chemical structure for clay mineral
利用者名(日本語) :勝見尚也
Username (English) :Naoya Katsumi
所属名(日本語) :石川県立大学
Affiliation (English) :Ishikawa Prefectural University

1.概要(Summary )
2018年9月6日、北海道胆振東部地震により斜面崩壊が多数発生し、土砂の流下・埋没により甚大な被害が生じた。この地震による斜面崩壊は、発生密度が高いことや、傾斜が30度以下の緩斜面でも崩壊が生じているなどの他の斜面崩壊ではみられない特徴がある。本研究では、本地震による斜面崩壊メカニズムの解明を目指し、崩壊が発生した斜面の粘土鉱物の分析を行った。

2.実験(Experimental)
北海道厚真町にて斜面崩壊が生じた4地点を選定し、すべり面と考えられる層を採取した。なお、すべり面の直上は樽前dテフラもしくは恵庭aテフラに由来する軽石層だった。採取した試料は風乾させずに2mmの篩を用いて篩別し、過酸化水素処理により有機物を分解した。その後、ストークス径が2 μm以下の画分を水溶液中で回収し、XRDによる粘土鉱物の同定を行った。さらに、非晶質の粘土鉱物の有無を確認するため、同試料に対して29Si NMRスペクトルの測定を行った。なお、29Si NMRスペクトルの測定は、JAISTに設置されているBruker製NMR装置(AVANCE Ⅲ)を用い、DD/MAS法により行われた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
XRDと29Si NMRの結果から、崩壊斜面の粘土鉱物は主にハロイサイトであり、アロフェンやイモゴライトなどの火山噴出物から生成する粘土鉱物は確認できなかった。

4.その他・特記事項(Others)
NMRスペクトルは北陸先端科学技術大学院大学の宮里朗夫博士に測定頂いた。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
勝見尚也,百瀬年彦,柳井清治, 第131回森林学会, 2020年3月27日

6.関連特許(Patent)
なし

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