利用報告書

結晶スポンジ法を用いたステロイドおよびアルカロイド類の構造解析
石塚 颯1), 長澤和夫1)
1) 東京農工大学大学院工学研究院

課題番号 :S-19-MS-0032b
利用形態 :協力研究(ナノプラット)
利用課題名(日本語) :結晶スポンジ法を用いたステロイドおよびアルカロイド類の構造解析
Program Title (English) :Structure Analysis Study of Steroids and Alkaloids by Crystalline Sponge Method
利用者名(日本語) :石塚 颯1), 長澤和夫1)
Username (English) :H. Ishizuka1), K. Nagasawa1)
所属名(日本語) :1) 東京農工大学大学院工学研究院
Affiliation (English) :1) Graduate School of Technology, Tokyo University of Agriculture and Technology

1.概要(Summary )
 結晶スポンジ法による単結晶X線構造解析は、結晶性の悪い化合物をMOF(有機金属構造体)に取り込ませることで、単結晶X線構造解析が可能となる技術である。また、結晶スポンジ法を用いることで、通常の単結晶を調整できない微量のサンプルでも単結晶X線構造解析が可能である。しかし、水溶性の化合物の測定は困難であるなど、結晶スポンジ法において化合物の適用に関する課題が残っている。
 ステロイド類及びグアニジンアルカロイド類は、有用な生理活性を有する創薬シーズ化合物群である。これらの化合物群のさらなる多様な創薬リードの創出を目的とし、本研究ではこれらの化合物群の酵素代謝産物のハイスループットスクリーニング技術の確立を目指す。本目的のためには、酵素代謝で得られる様々なかつ混合物であられるごく微量な代謝産物の迅速な構造解析が必須となる。この代謝産物群の構造解析に結晶スポンジ法を適用することを念頭に、本研究課題では、構造既知のステロイド、グアニジンアルカロイドを用いた結晶スポンジ法による構造解析手法の確立を目的とした。

2.実験(Experimental)
結晶スポンジ法による構造解析実験を行った。測定サンプルは、自身の研究室から持参した、ステロイドAおよびB、またグアニジンアルカロイドCおよびDを用いた。サンプルの調整には、藤田誠グループに準備されたインキュベーター、顕微鏡、試薬等を用いた。調整したサンプルのX線回折実験には、単結晶X線回折装置(Rigaku Synergy Custom、Rigaku XtaLAB P200、Rigaku SuperNova)を用いた。得られた回折像の解析には、藤田誠グループに準備されたPC及び自身の研究室から持参したものを用いた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
結晶スポンジ法による構造解析の検討の結果、ステロイドAおよびBの構造解析に成功した。これら2つの化合物は、全く同様の条件下で構造を解析できたことから、これらの類縁化合物群の構造解析は、本検討で得られた測定条件を適応することで可能であることが示唆された。今後、酵素代謝により得られるこれらの類縁代謝産物の構造解析を検討する。
イオン性化合物であるグアニジンアルカロイドCおよびDを用いた構造解析の検討を行なった。様々な条件を検討したが、現在のところ構造解析には至っていない。しかし検討の過程でイオン性化合物の構造解析における重要な知見を得ることができた。今後本知見をもとに、グアニジンアルカロイド類の構造解析を検討する。

4.その他・特記事項(Others)
結晶スポンジ法による構造解析に関しまして、多大なご指導、ご助言を賜りました、分子科学研究所 特別研究部門 藤田誠 教授並びに三橋隆章 特任助教に深く御礼申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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