利用報告書

膜タンパク質に対する脂質の特異的相互作用の解析法の開発
稲田壮峰1),松森信明2)
九州大学理学府1)/理学研究院2)

課題番号 :S-19-KU-0041
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :膜タンパク質に対する脂質の特異的相互作用の解析法の開発
Program Title (English) :Development of a methodology for detecting the specific lipid to membrane proteins
利用者名(日本語) :稲田壮峰1),松森信明2)
Username (English) :M. Inada1), N. Matsumori2)
所属名(日本語) :九州大学理学府1)/理学研究院2)
Affiliation (English) :Graduate School of Science, Kyushu University

1.概要(Summary )
 申請者はこれまでに膜タンパク質-脂質相互作用解析法を開発した。この方法では、表面プラズモン共鳴定量分析システムにおいて、金薄膜コートチップ表面に炭素鎖を修飾し、膜タンパク質を固定化した後、脂質溶液を添加することで相互作用を解析する(Inada M, 2019)。この方法を膜タンパク質に適用したところ、それぞれの膜タンパク質の構造・機能を効率よく制御する「機能的脂質」の同定に成功した。
このように申請者は機能的脂質の同定・スクリーニングを可能とした。その一方で、このSPR分析では1度に1組の膜タンパク質-脂質ペアしか測定できない。したがって、この方法のスループット性は十分ではなく、不特定多数の脂質から機能的な脂質を絞るには多大な時間がかかる。そこで本研究では、膜タンパク質を制御する「機能的脂質」をよりハイスループット的に同定可能な手法の開発を目指している。
 膜タンパク質-脂質相互作用解析は、センサーチップへ炭素鎖の修飾が、膜タンパク質固定化を効率化することで達成された。したがって現在は、表面に炭素鎖を修飾した金ナノ粒子に膜タンパク質を固定化し、脂質の混合溶液に添加することで、機能的脂質のみが分離・抽出されるかどうかを検討している。

2.実験(Experimental)
金ナノ粒子に対して膜タンパク質を固定化し、脂質混合溶液にインキュベートした後、金ナノ粒子を遠心分離し、高塩濃度溶液で粒子表面を洗浄した。この洗浄溶液に含有される脂質を、MALDI-TOF-MS(Autoflex III)によって検出した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
表面に炭素鎖を修飾した金ナノ粒子を2種類(25 nm, 120 nm)調製した。また、固定化する膜タンパク質には古細菌由来のバクテリオロドプシン(bR), 脂質には古細菌生体膜を用いた。
 脂質混合溶液に添加した粒子を分離し、高塩濃度溶液で洗浄した。その結果、過去のSPR分析によりbRに対して非常に強く相互作用する評価された脂質のみならず、他の脂質も多く抽出されていることが確認された。(Fig)今後、試行回数を重ねて脂質抽出の再現性を確認するとともに、機能的脂質抽出における最適条件・プロトコルを決定していく予定である。

Fig. MALDI-TOF-MSスペクトル

4.その他・特記事項(Others)
なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。来年度以降に成果がまとまり次第、対外的に発表する。

6.関連特許(Patent)
なし。

©2026 Molecule and Material Synthesis Platform All rights reserved.