利用報告書

自己組織化を誘導するバイオナノファイバーの局所的表面改質
石田紘一朗, 横田慎吾, 近藤哲男
九州大学 大学院生物資源環境科学府

課題番号 :S-19-KU-0063
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :自己組織化を誘導するバイオナノファイバーの局所的表面改質
Program Title (English) :Local surface modification of bio-based nanofibers to induce self-assembly
利用者名(日本語) :石田紘一朗, 横田慎吾, 近藤哲男
Username (English) :K. Ishida, S. Yokota, T. Kondo
所属名(日本語) :九州大学 大学院生物資源環境科学府
Affiliation (English) :Gladuate School of Bioresource and Bioenvironmental Sciences, Kyushu University

1.概要(Summary)
生物は分子、ナノ、マイクロオーダーのビルディングブロックを自己組織化あるいは自己凝集させることによって緻密な三次元構造体を形成している。その最たる例であるセルロースは、親水的なOH基と疎水的なCH基の二つの異なる性質の官能基を有する分子構造に起因して、規則正しく配列させた階層的な高次構造を形成する。このような集合構造は物性との相関が強く、集合構造の制御と集合メカニズムの理解が求められている。
本研究では集合構造形成を誘導するため、生物由来のナノ素材であるナノセルロース(NC)について、その表面を局所的に改質し、新たなナノビルディングブロックとしての材料設計を試みた。具体的には、水油界面にてNCの表面改質を施すことによって疎水性官能基を局所的に導入し、二面性を有するNCを調製した。この二面性を持ったNCを集合させたフィルムは、一般的な均一分散系で改質されたNCのフィルムと比較して強い疎水性を示す等の性質がこれまでに示されてきた。一方でその最表面の化学構造については不明瞭であり、異なる表面特性を示す理由を探るべくX線光電子分光法による表面分析を行った。

2.実験(Experimental)
使用装置名:X線光電子分光分析装置 ESCA5800
キャスト法によってフィルムを調製した。すなわち、エマルション中の水/油界面で酢酸エステル化を行ったNCを親水性基板(ガラス基板などの)上でフィルム化し、乾燥させたのちフィルムを基板から取り外した。また、コントロールとして均一分散系で表面改質したNCを用い、フィルムを同様に調製した。これらフィルムの両面(親水性基板側と疎水的な性質を持つ空気側)に対しESCA5800を用いて、survey scan、C1s narrow scanを行い、表面化学組成ならびに化学構造の解析を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 一般的な均一分散系で表面改質を行ったNCの場合では、はく離したフィルムの空気側と基板側のスペクトルにおいて差異は見られなかった。一方、水/油界面で表面改質を行ったNCのフィルムについては、疎水的な空気側では疎水性官能基(アセチル基)の割合が高く、親水性基板側では親水的なOH基の割合が高くなっていることが示された。このことから、局在した疎水性官能基と親水性OH基が存在することにより外部環境に応じた集合構造形成が行われたことが推察される。また、その集合の結果としてより疎水的なフィルム表面を作り出したことが考えられる。

4.その他・特記事項(Others)
なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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