利用報告書
課題番号 :S-18-NM-0043
利用形態 :技術補助
利用課題名(日本語) :芝草表皮の微細構造および土壌改良材表面の微細構造の観察
Program Title (English) :Observation of Microstructures of Turfgrass Leaf Epidermis and Soil Conditioner Surface
利用者名(日本語) :宇城正和1), 2)
Username (English) :M. J. Ushilo1)
所属名(日本語) :1) 株式会社アクションコーポレーション, 2)埼玉工業大学先端科学研究所
Affiliation (English) :1) Axxion Corporation, Co., Ltd., 2) Saitama Institude of Technology, Advanced Science Research Laboratory
1.概要(Summary)
多孔質性土壌改良資材(以下、多孔土改材と略称)は植物の生育に欠かせない適度な通気性と保水性を土壌に確保するために用いられ、その多孔質特性が資材の特性を示す上で重要となる。本研究では、卓上走査型電子顕微鏡(以下、卓上電顕と略す)を用いて多孔土改材の多孔質性を観察した。多孔土改材には種類に関わらず微小孔隙(5 m~30 m)が観察され、土壌に通気性と保水性を与えるものと推察された。また、5 m以下の孔隙が多数観察され、これらの孔隙はその大きさから超微小孔隙(0.1 m~5 m)に区分され、土壌細菌類の格好のすみかになることが推察された。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
卓上走査型電子顕微鏡
【実験方法】
実験に供試した多孔土改材は、イライト+非結晶シリカ(プロファイル)、珪藻土(イソライト)および沸石(エコライト)であった。これら資材の顆粒(直径約1 mm)を卓上電顕(HITACHI-Miniscope TM3000、以下、TM3000と略称)を用いて観察した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
土壌の孔隙は、サイズの大きさにより以下のように区分されている。すなわち、粗大孔隙(>75 m, Macropore)、メソ細孔隙(30 m~75 m, Mesopore)、微小孔隙(5 m~30 m, Micropore)、超微小孔隙(0.1 m~5 m, Ultramicropore)およびクリプト微小孔隙(<0.1 m, Cryptopore)の5区分である。観察結果では、多孔土改材にはメソ細孔隙あるいは微小孔隙に区分される孔隙が認められた。さらに1,000倍以上の高倍率で超微小孔隙に区分される孔隙が多数観察された(Fig. 1)。土壌微小孔隙内では水の保留とともに細菌類の住処として好適であることが指摘されており、多孔土改材が保水性、通気性の改善ばかりではなく、土壌微生物の賦活にも貢献することが示唆された。
Fig. 1 Observation of the porous soil conditioner of illite and amorphous silica (Profile) by tabletop SEM.
4.その他・特記事項(Others)
電顕使用法については李潔様、森田浩美様に十分な技術支援を受けました。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 宇城正和, 多孔質性土壌改良資材の電顕観察,
日本芝草学会2019年春季大会口頭発表6月16日予定.
6.関連特許(Patent)
なし