利用報告書
課題番号 :S-16-KU-0023
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :蛍光性キラル高分子膜の表面形態・構造解析
Program Title (English) :Analysis of Morphology and Structure at Film Surface of A Chiral Fluorescent
Polymer
利用者名(日本語) :春藤 淳臣1),田中 敬二1,2)
Username (English) :A. Shundo1), K. Tanaka1,2)
所属名(日本語) :1) 九州大学大学院統合新領域学府, 2) 九州大学大学院工学研究院
Affiliation (English) :1) Department of Automotive Science, Kyushu University,
2) Department of Applied Chemistry, Kyushu University
1.概要(Summary )
光学異性体の分離・検出を可能とする高分子材料を設計・開発するためには、キラルな液体と接した界面における高分子鎖の振る舞いを理解・制御する必要がある。このような背景のもと、我々は側鎖配向に基づきキラリティーを誘起する側鎖型誘起キラル高分子を設計し、その膜表面近傍に存在する分子鎖は、キラル液体との接触に伴い、その局所コンフォメーションを変化させることを明らかにしてきた。本研究では、この概念を拡張するため、蛍光性部位を側鎖に有する側鎖型誘起キラル高分子を新たに設計・合成し、キラル液体との接触に伴う膜表面の形態変化を検討した。
2.実験(Experimental)
ナフタレンジイミド骨格とR体のキラルアルキル基を併せもつメタクリレートモノマーを合成した後、ラジカル重合によってキラル高分子 (R-PNDI) を得た。ポリメタクリル酸メチルを標準試料としたゲル浸透クロマトグラフィー測定の結果、数平均分子量は38k、分子量分布指標は2.6であった。R-PNDIはクロロホルム溶液からスピンコート法によってシリコン基板上に製膜し、室温にて24時間減圧乾燥した。大気下、(R)-および(S)-1,2-プロパンジオール (R-, S-PD) 存在下におけるR-PNDI膜の表面形態は、接「環境制御型多機能走査プローブ顕微鏡」を用いて評価した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Figure 1は、R-PNDI膜の大気中、S-PD中およびR-PD中における形状像である。S-PD中におけるR-PNDI膜表面の二乗平均面粗さ (RRMS) は0.20 nmであった。この値は、大気中におけるRRMS値 (0.22 nm) と同程度あった。一方、R-PD 中の場合、RRMS値は0.30 nmであり、大気中におけるRRMS値よりも大きかった。したがって、膜の表面形態、すなわちR-PNDIの凝集状態は、R-PDとの接触によって変化することは明らかである。
Figure 1. Surface morphology of R-PNDI film under (a) the ambient air, (b) S-PD and (c) R-PD.
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
1. “Enantioselective Discrimination at Dynamic Interface of a Chiral Polymer”, The 11th SPSJ International Polymer Conference, 14 December 2016.
2. “Enatioselectivity at Dynamic Interface of A Polymer with Induced Chirality”, The 10th Korea-Japan Joint Symposium on Polymer Science 2016, 1-2 September 2016.
他 学会発表3件
6.関連特許(Patent)
なし。