利用報告書

表面増強ラマン散乱を利用した新規脂質分析手法の開発
木村健太, 江島広貴
東京大学大学院工学系研究科

課題番号 :S-19-NM-0072
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :表面増強ラマン散乱を利用した新規脂質分析手法の開発
Program Title (English) :Lipid component analysis by surface enhanced Raman spectroscopy
利用者名(日本語) :木村健太, 江島広貴
Username (English) :Kenta Kimura, Hirotaka Ejima
所属名(日本語) :東京大学大学院工学系研究科
Affiliation (English) :School of Engineering, the University of Tokyo

1.概要(Summary)
 エクソソームは脂質二重膜からなる直径30-100 nm程度の細胞外小胞で、タンパク質や核酸を内包し、細胞間情報伝達を担っている。近年、がんの診断マーカーとしてエクソソームの利用が検討されている。本研究課題では金ナノ粒子で被覆したエクソソームの表面増強ラマン散乱(SERS)スペクトルを測定した。

2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
 高速レーザーラマン顕微鏡

【実験方法】
 細胞培養液より精製したエクソソームを金ナノ粒子で被覆し、Si基板上にキャストした。高速レーザーラマン顕微鏡RAMAN Plus(ナノフォトン)を用いて金被覆エクソソームのSERSスペクトルを測定した。波長が532 nmのレーザー光源を用いた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 金修飾粒子のラマンスペクトルを測定したところ、リン脂質由来と考えられるスペクトルが得られた(Fig. 1)。次に、得られたスペクトルがSERSによるものであることを更に確かめるため、SERSを発生させる表面プラズモン共鳴(SPR)が金粒子により発生しているかを調べた。UV-Vis吸収スペクトル測定によって金修飾エクソソームの消光スペクトルを調べたところ、550 nmを中心とするピークが確認された。このことから金修飾粒子が表面プラズモン共鳴を起こしていることが示唆された。吸収スペクトルのピークがブロードになった原因として、粒径が30-100 nmと幅広く分布するエクソソームをテンプレートにしたために生成した金ナノ粒子の粒径幅も広くなったことが考えられる。

これらの結果から金修飾を施された粒子がSPRを起こすと確認され、SERSに適用可能であることが示唆された。今後はさらなるスペクトルの解析と実験回数を重ねることにより、リン脂質の分析手法として適用可能かを検証する。

4.その他・特記事項(Others)
NIMS服部氏より装置の使用トレーニングを受けた。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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