利用報告書
課題番号 :S-19-NM-0078
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :表面改質イカ墨色素粒子の粒子径とゼータ電位に関する研究
Program Title (English) :Study on size and zeta potential of surface-modified squid ink particles
利用者名(日本語) :松浦俊彦
Username (English) :T. Matsuura
所属名(日本語) :北海道教育大学 教育学部函館校
Affiliation (English) :Hakdoate Campus, Hokkaido University of Education
1.概要(Summary )
白髪染めや毛髪染色に使用されるヘアカラーリング剤は合成物質であり、頭皮への刺激が強いため、敏感肌の顧客や美容師は刺激の少ない天然物を用いたヘアカラーリング剤を待ち望んでいる。そこで、天然色素であるイカ墨色素粒子を用いたヘアカラーリング剤の開発が行われている。しかし、天然のイカ墨色素粒子は負に帯電しているため、染毛能力が乏しい。申請者らは、イカ墨色素粒子の表面にあるカルボキシル基をアミノ基に置換することで、表面電荷を正に改質(カチオン化)させることに成功している。しかし、表面改質後の粒子径とゼータ電位を正確に測定できていない。
本研究では、表面改質イカ墨色素粒子の粒子径とゼータ電位を計測し、カチオン化の度合いを定量的に評価することを目的とした。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
・動的光散乱光度計
・レーザーゼータ電位計
【実験方法】
動的光散乱光度計を用いて、表面改質イカ墨色素粒子の粒子径を計測した。また、イカ墨色素粒子の表面電荷を定量的に評価するため、ゼータ電位を測定した。イカ墨色素粒子はコウイカ、アカイカ、アメリカオオアカイカ、スルメイカの4種類をそれぞれ分離・精製したものを使った。カチオン化剤は分子量の異なる4種類のポリエチレンイミンおよび正電荷をもつ3種類の塩基性アミノ酸を用いて、イカ墨色素粒子の表面に付加させた。
3.結果と考察(Results and Discussion)
天然のイカ墨色素粒子のゼータ電位はすべて負に強く帯電しており、その値はイカの種類によって異なることが明らかとなった。また、粒子径は分散液の濃度に依存することを見出した。ポリエチレンイミンで表面改質したイカ墨色素粒子は正に帯電し、多数のアミノ基を持つポリエチレンイミンを使うほど、カチオン化が増強されることを示した。塩基性アミノ酸を付加したイカ墨色素粒子も天然のイカ墨色素粒子に比べると、ゼータ電位はカチオン側へシフトした。本研究により、毛髪への吸着力などヘアカラーリング剤の開発に不可欠な基礎的知見を得ることができた。
4.その他・特記事項(Others)
(1) 松浦俊彦: 染毛剤を代表とするイカ墨の色素材料化の検討(グラント番号JPMJTM19A1), 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)機能検証フェーズ試験研究タイプ 令和元年度第1回募集〔国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)〕(2019.9.2-2020.8.31).
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5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) T. Matsuura, A. Sugawara, M. Nishimura, T. Neichi, K. Minato, T. Ueno, Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 58 (2019) SIIB02.
6.関連特許(Patent)
(1) 松浦俊彦, 上野孝, 柴田昌之, “カチオン付加イカ墨色素粒子及びその製造方法”, 特開2018-145376, 平成30年9月20日(公開日)







