利用報告書
課題番号 :S-18-NI-0008
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :貴金属/半導体複合ナノ粒子の合成
Program Title (English) :Fabrication of noble metal/semiconductor composite nanoparticles
利用者名(日本語) :葛谷俊博1), 犬飼英嵩2), 濱中 泰2)
Username (English) :T. Kuzuya1), H. Inukai2), Y. Hamanaka2)
所属名(日本語) :1) 室蘭工業大学, 2) 名古屋工業大学
Affiliation (English) :1) Muroran Institute of Technology, 2) Nagoya Institute of Technology
1.概要(Summary )
我々は、貴金属と半導体で構成されたヤヌス型の複合ナノ粒子の、光触媒や増感色素への応用の可能性に注目している。一般に、非極性溶媒中で液相合成したナノ粒子は、その表面に長鎖アルキル基を有する有機配位子が結合している。有機配位子はこのような応用において障害となるため除去する必要がある。ドデカンチオールを配位子として使用した場合、強固に結合するため除去することが困難である。そこで、除去しやすいアミンが配位した複合ナノ粒子の合成法を検討した。
2.実験(Experimental)
複合ナノ粒子の前駆体となるCu-Ag-Sナノ粒子を合成した。Cu-Ag-Sナノ粒子にはオレイルアミンもしくはオレイン酸が配位している。次に、Cu-Ag-Sナノ粒子のAgをInで置換し、CuInS2とAgから成る複合ナノ粒子に転換させることを試みた。いずれの方法でも、Cu-Ag-Sナノ粒子を分散した溶液に、酢酸インジウムまたはインジウムチオール錯体と、オレイルアミン/トリオクチルアミンを加えて加熱した(合成法1~4)。一方、酢酸インジウムとドデカンチオールを加える方法でも合成をおこなった(合成法5)。
合成後に貧溶媒を加えてナノ粒子を沈殿させ、遠心分離して精製した。ナノ粒子を透過電子顕微鏡で観察し、粒子サイズと形状を調べた。また溶媒に分散させて吸収スペクトルを測定した。本課題では、合成から測定評価までを一貫して実施機関でおこなった。
主な使用装置:
紫外・可視・近赤外分光光度計(JASCO V570)
高分解能透過電子顕微鏡(Hitachi HF-2000)
遠心機(Sakuma Z326)
3.結果と考察(Results and Discussion)
合成方法5で得られたナノ粒子は、図1に示すTEM像からわかるように、AgとCuInS2から成るヤヌス型であった。しかし、ドデカンチオールが配位しており、除去が困難であった。合成法1~4で得られたナノ粒子はいずれもヤヌス型のように一つのナノ粒子内部が二相に分離しておらず、粒径と形状には大きなバラつきが見られた。図2にナノ粒子の吸収スペクトルを示す。2~3 eV付近にブロードな吸収ピークが存在する。これはAgナノ粒子もしくは合金ナノ粒子の局在プラズモン共鳴による吸収帯であると考えられる。
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし