利用報告書

赤外分光法による胆石成分の分析
水本朔, 李黎明
千歳科学技術大学

課題番号 :S-16-CT-0026
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :赤外分光法による胆石成分の分析
ProgramTitle(English):Analysis of gallstone component with Infrared spectroscopy
利用者名(日本語) :水本朔, 李黎明
Username(English) :Hajime Mizumoto, Liming Li
所属名(日本語) :千歳科学技術大学
Affiliation (English):Chitose Institute of Science and Technology

1.概要(Summary)
日本人の胆石保有率は10%であり、胆石症は加齢とともに増加する。胆石症の治療法としては、内視鏡による機械的砕石、胆石溶解剤による内服治療、電気水圧衝撃波砕石、レーザアブレーションによる砕石がある。しかし、これらの治療法では、胆石を完全に破砕することができず、破砕片による再結石などの問題がある。ビリルビン結石やカルシウム成分の多い胆石に関しては、溶解剤を用いた治療では治療効果が期待できず、直接的な結石の除去が必要となる。そこで、超短パルスレーザを胆石破砕治療に用いることにより、胆石を分子レベルで破砕し、胆管などを傷付けないことが期待されている。本研究では、超短パルスレーザによる胆石治療を確立させるために、フーリエ変換赤外分光法 (FT-IR)を用いて胆石の分子構造の解析を行う。また、FE-SEM及びEDSを用いて表面構造や元素分析を行い、FT-IRのデータと比較を行う。

2.実験(Experimental)
FT-IRを用いた実験では、KBr錠剤法及び顕微反射法を用いて、胆石の分子構造を確認した。油分測定用の有機溶媒である四塩化炭素にオレイン酸コレステリルを溶解し、これをフッ化カルシウム板にフィルム化し、フィルム透過法により分析を行った。また、フィルム化したオレイン酸コレステリルにグリセリン処理及び水による処理を行い、フィルム透過法を用いて測定を行った。FE-SEM及びEDSを用いた実験では、試料を3mmのサイズに分割し、サンプルステージに固定し、Ptでスパッタした。その後、顕微鏡画像を獲得し、無機成分を中心に元素分析を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
KBr錠剤法及び顕微反射法では、胆石の表面構造及び分子構造を確認することができた。フィルム透過法では、オレイン酸コレステリルのスペクトルを得ることができ、1738cm-1にピークを確認することができた。水による処理を行った場合では、オレイン酸コレステリルのピーク (1738cm-1)に水のピーク (1650cm-1)が重なったものが得られた。FE-SEMでは、胆石の表面構造を確認することができた。EDSでは、元素分析により、Ca、P、Na、Cu等の無機成分を検出した。

4.その他・特記事項(Others)
・参考文献
(1) 水本朔, 會沢勝夫, 李黎明 第37回日本レーザー医学会総会アブストラクト, 平成28年10月21日、22日

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
・学会発表
(1) Hajime Mizumoto, Liming Li Analysis of Gallstone Component with Infrared spectroscopy 2016.10.10-13
(2) 水本朔, 會沢勝夫, 李黎明 第37回日本レーザー医学会総会, 平成28年10月21日、22日
(3) 水本朔, 李黎明 第55回日本生体医工学会北海道支部大会, 平成28年10月29日

6.関連特許(Patent)
なし。

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