利用報告書
課題番号 :S-16-NM-0053
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :超分子ポリマーの研究
Program Title (English) :Investigation of supramolecular polymers
利用者名(日本語) :福井智也
Username (English) :Tomoya Fukui
所属名(日本語) :筑波大学大学院数理物質科学研究科物質・材料工学専攻
Affiliation (English) :Graduate School of Pure and Applied Sciences University of Tsukuba
1.概要(Summary )
自然界では、自由エネルギーだけでは説明のつかない複雑な構造や機能が創発される。近年、超分子化学においても速度論的挙動が注目を集めており、時間発展する人工分子システムがいくつか報告されてきている。しかしながら、生命現象で一般的に見られる分岐現象のような複雑な時間発展は、人工系では全く達成されていない。本研究では、速度論的にトラップされた超分子集合体が条件に応じて複数の超分子集合体へ時間発展的に分化する現象を見出し、それを制御することに成功した。
2.実験(Experimental)
本研究で合成した化合物の同定および得られた超分子集合体評価のために、以下の装置をもちいた。
・NMR : サンプルは各種重溶媒に溶かし、NMRチューブをもちいて1H NMRおよび13C NMRの測定を行った。
・FT-IR : 得られた超分子集合体をメチルシクロヘキサンに分散させ、KBrセルをもちいてFT-IRの測定を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
新規に合成したポルフィリン分子はNMRおよびMALDI-TOF-MSによって同定した。得られたポルフィリン分子をメチルシクロヘキサンに加熱溶解させると、冷却に伴い速度論的に安定なナノ粒子状会合体へと自己集合した。さらに、この溶液を室温で撹拌することによって、高さが均一な2次元ナノシートへと時間発展した。この際、溶液への刺激を撹拌から超音波照射へ切り替えると、1次元ナノファイバーへ時間発展することがわかった。それぞれの長文刺繍5つ愛のFT-IR測定から、分子の集積様式が異なることを明らかにした。すなわち、これは、たった1種類の分子が時間発展的に異なる超分子集合体へと転移する、超分子集合体の分化現象である。
4.その他・特記事項(Others)
特に竹村太郎様、李潔様におかれましては、NMR装置、FT-IR装置の使用方法の説明やメンテナンス等、様々な場面で丁寧にご対応していただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) ○T.Fukui, K.Sugiyasu, M.Takeuchi, Divergent Time-evolution of a kinetically trapped supramolecular assembly, The 96th CSJ Annual Meeting, 2F4-16, Kyotanabe campus, Doshisya University, Kyoto,March 25th, 2016.
6.関連特許(Patent)
なし







