利用報告書

超硬刀具の鋭利刃先の実現
澤田 秀司1)
1) シー・ケィ・ケー株式会社

課題番号                :S-19-NI-0003

利用形態                :技術代行

利用課題名(日本語)    :超硬刀具の鋭利刃先の実現

Program Title (English) :Development of super sharp cutting tool

利用者名(日本語)      :澤田 秀司1)

Username (English)     :Shuji Sawada1)

所属名(日本語)        :1) シー・ケィ・ケー株式会社

Affiliation (English)  :1) C.K.K CO.,LTD.

 

 

  • 概要(Summary )
    名古屋工業大学江龍研究室で開発された固定砥粒型CMP法を用いて、量産型超鋭利化超硬刃具の基礎的研究を試みた。スローアウェイと呼ばれる交換型超硬刃具を、量産に資する速度で実現するための条件設定を行った。鋭利化の効果は極めて高く、鋭利化のみで刃具の寿命が数倍に伸び、且つ、得られる加工表面は従来の刃具では実現できない平滑面が得られた。

 

2.実験(Experimental)
MAT社製エアスピンドル40cm研磨定盤一式

・曲面形成治具一式

1:形状形成された刃具を、形成治具に固定する

2:名古屋工業大学江龍研究室にて開発したCMP研磨砥石により刃先をCMP加工する。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

CMP研磨加工超硬刃具によるTi-6Al-4V加工結果
左:10μm切込み加工、右:2.5μm切込み加工

鋭利化した刃先の寿命試験も踏まえ、汎用旋盤を用いて、Ti-6Al-4V材料の加工試験を実施した。φ25mmの被削材を400rpmで回転させ、切り込み深さを変えながら旋削した時の切粉を示す。送りは0.1mm/revである。市販されている刃具のまま旋削させると、旋削直後は連続した切粉を獲得できるものの、数秒で図左に示すように粉々になる。一方、鋭利化した刃具によれば、切込み深さを1/4にしているにも関わらず、指でつまんでも崩壊しない、連続した切粉が得られる。この刃具の寿命について次のグラフを用いて説明する。

鋭利化の有無による切削可能距離の比較

 

鋭利化の問題として「欠け易い」ことが挙げられる。本研究の推進において、量産化に向けた懸念はその一点であった。しかし、グラフに示すように鋭利化することによって切削可能距離は伸び、それはインコネルやチタン基素材においても同様の結果を得た。今後は加工方法等も含めて研究を継続する。

4.その他・特記事項(Others)

なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

(1) 江龍 修 「航空機部品への適用を目的とする微細加工技術」日本塑性加工学会論文誌, Vol61, 709 (2020) pp.75-78. 令和2年2月25日発行

6.関連特許(Patent)

なし

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