利用報告書
課題番号 :S-14-NU-0015
利用形態 :(技術代行)
利用課題名(日本語) :遷移金属水酸化物-プルシアンブルー(PB)ナノ粒子複合体の構造とセシウム吸着特性の
因果関係の解明
Program Title (English) :Investigation on the nanostructures of transitional metallic oxide-Prussian Blue complexes
from the viewpoint of the mechanism of Cs adsorption
利用者名(日本語) :鵜原 壽, 結城英二,佐藤充宏,妹尾幸一
Username (English) :H. Ubara, E. Yuuki, M. Sato, K. Seno
所属名(日本語) :三重中央開発株式会社
Affiliation (English) :Miechuokaihatsu Co., Ltd.
1.概要(Summary )
PBはCs汚染水から選択的にCsを除去するが,処理水にPBの溶出に由来するシアンが高濃度に検出される問題ある。一方,二価の遷移金属水酸化物であるMe(OH)2)とPBの複合体(PB-X)による処理ではCs除去と同時にPBの溶出を抑制することができる。
その機構として層状結構造を取るMe(OH)2の層間にPB分子,或いはそのクラスターがintercalateしている構造を予測した。PBとPB-Xの形態観察,構造解析の比較によりその検証を行った。
2.実験(Experimental)
構造/形態解析にMe(OH)2-PB複合体であるPB-Xは,Cu(OH)2-PB合成品をPBは市販品と合成品を用いた。
X線回折装置で結晶構造解析を行い,SEM-XMAで形態観察,元素分析を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
PB-XでCu(OH)2/PB=2(モル比)のX線回折からはCu(OH)2の層状結晶構造に由来する回折ピークは確認されず,PB-X複合体のCu(OH)2は非晶質であることが判明した。Cu(OH)2/PB=3のX線回折ではCu(OH)2由来と考えられるピークが出現したが,c軸方向に展開した層状構造は観られなかった。PB-XでPB由来の回折ピークはPB市販品NH4Fe(Ⅲ)(CN)6や合成したPBと比較し広角側にシフトし,格子定数が小さくなっていることが確認された(図1)。回折ピークの広角側シフトは,PB-XのPBとCuの相互作用に起因するものと考えられる。PB-XとPB市販品のSEM観察からPB-Xは粒子径<50nmの1次粒子からなる凝集体であるのに対して,PB市販品の1次粒子径は50~100nmと大きいことが分った(図2)。PB-XのCs吸着性が市販品PBに優れているのは,1次粒子径の違いによる吸着表面積に起因することが考えられる。
PB-X;2Cu(OH)2/PB,3Cu(OH)2/PBのCu/Feの原子比はそ
れぞれ1と1.5に設計されているが,XMA分析から設計した通りCu/Fe=1.10と1.52であった。
図1.PB-XとPB市販品,合成品のX線回折
図2PB市販品(左)とPB-X(右)のSEM像
4.その他・特記事項(Others)
技術の代行でしたが,坂口教授をはじめ近藤様,伊藤様
林様には機器の測定は勿論のこと,データの解析についても親身になってご指導を戴き深謝いたします。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
「なし。」
6.関連特許(Patent)
「なし。」







