利用報告書
課題番号 :S-15-MS-1056
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :酸化劣化に伴うゴム構造変化の解析法に関する研究
Program Title (English) :Study on the analysis of structural changes of natural rubber associated with
oxidative degradation
利用者名(日本語) :三好 剛一郎,酒井 亮介,八柳 史
Username (English) :K. Miyoshi, R. Sakai and F. Yatsuyanagi
所属名(日本語) :横浜ゴム株式会社
Affiliation (English) :The Yokohama Rubber, Co., Ltd.
1.概要(Summary )
タイヤに代表される加硫ゴム製品は、長期間使用されることで硬くなったり、柔らかくなったりして、初期の物性が低下する。酸化劣化はこうした物性変化要因の代表例である。加硫ゴムは酸化に伴い硬化するが、その過程でゴム構造が変化し架橋密度が増加するためと推測される。このような酸化劣化機構の解明には、酸化に伴うゴム構造変化の検出と定量的な議論が必要不可欠である。これまでゴムの微小構造変化や架橋点の構造解析はNMRにて行われており、硫黄架橋点構造に関しては多くの報告例がある。本研究では、酸化に伴うゴム構造変化に着目し、ゴム分子鎖や架橋点の構造変化の検出と酸化劣化機構の解明を目的に超高磁場NMR装置による解析を実施した。
2.実験(Experimental)
測定試料にはカーボンブラック未配合の加硫天然ゴムを用いた。ゴムの劣化は80℃および100℃のオーブンで空気雰囲気下、4週間実施した。測定前のゴムは、トルエンにて溶剤抽出を行い、溶剤可溶分を除去した。
NMR測定には日本電子社製NMR ECA-920装置を用い、プローブは固体用4mm 13C-CPMASプローブ(MAS速度8kHz)および固体用1mm 13C-CPMASプローブ(MAS速度60kHz)を使用した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
酸化劣化後の加硫天然ゴムの13C NMRスペクトルからは、70~90ppm付近に酸素が結合したと推定されるブロードなピークが検出されるとともに、複数の微小ピークの変化が確認された。この微小ピークは硫黄架橋点に由来するものと推定される。また、ゴム分子鎖のトランス構造に由来するピークの増加が見られ、酸化劣化に伴いシス-トランス異性化が起こっていることも確認された。
一方で、1H NMRスペクトルは酸化劣化前後で線幅の広幅化が顕著となり、酸化劣化前に検出されていた微小ピークは確認できなかった。しかし、各ピークの線幅を比較すると側鎖のメチル基に由来するピークが最も広幅化しており、メチル基の回転運動の抑制が顕著である。このことから、酸化劣化により分子間架橋が増加、もしくは分子間距離が短くなった可能性が示唆された。
超高磁場NMR装置を用いることで、酸化劣化後のゴムからでも微小な構造変化に伴うピークを検出することができたが、酸素が結合した部位の特定や劣化後の物性変化と構造変化の関係性の把握には至っていない。今後は二次元測定などを活用し、詳細構造の把握を継続していくとともに、物性低下要因の究明が必要といえる。
4.その他・特記事項(Others)
奥下 慶子特任助教
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。







