利用報告書
課題番号(Application Number):S-15-NR-0049
利用形態(Type of Service): 共同研究
利用課題名(日本語) : 重合反応の駆動力としてのナノ層構造ゆらぎの可視化研究
Program Title (English) : Direct observation of nano-layered fluctuation as a driving force of polymerization reaction
利用者名(日本語) :島内寿徳,岩本楓,福間早紀
Username (English) : T. Shimanouchi, K. Iwamoto, S. Fukuma
所属名(日本語) : 岡山大学大学院環境生命科学研究科
Affiliation (English) : Okayama University
1.概要(Summary )
界面活性剤やリン脂質からなるベシクルが導電性高分子やアミロイドの重合反応に及ぼす影響を検討した。得られたサンプルのナノ構造をcryo-TEMにより可視化するとともに、重合反応の生成物の重合度を質量分析器(MALDI TOF-MS)により評価した。その結果、導電性高分子の重合度やアミロイドの微視的構造が脂質組成に強く依存することが見出された。
2.実験(Experimental)
各種脂質組成で脂質薄膜を形成し、純水により高温にて水和し、光学顕微鏡で直接観察が可能なジャイアントベシクルを調製した。概ね粒径は10~30 mである。アニリンと西洋ペロキシダーゼ(HRP)とジャイアントベシクルを混合し、過酸化水素を添加することによりポリアニリン重合反応を開始させた。得られたポリアニリンの分子量をMALDI-TOFMSにより決定した。またアルツハイマー病由来アミロイドβペプチド(分子量約4300)を粒径100nmのベシクルと共存させ、37℃においてアミロイド形成を開始した。得られたサンプルのTEM像を取得した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
3.1.ベシクル膜の微視的構造の直接観察
100 nm程度の粒径に調整したベシクルの微視的構造をcryo-TEMで観察した。どの脂質組成においても球状のベシクルが観察された。また相転移温度が実験温度よりも高い脂質や糖脂質を含むベシクルの場合、角ばった形状であることを確認できた。これはゲル相状態や膜の二次元相分離に起因することが分かった。
3.2.ベシクル膜ゆらぎとポリアニリン重合反応
各種脂質組成のジャイアントベシクル共存条件において、ポリアニリン重合反応を検討した。HRPがベシクル膜内部にまで配向しる場合、良導電性のエメラルジン塩が生成した。一方、HRPが表面に配向する場合は絶縁性のペルニグラニリン塩が得られた。エメラルジン塩生成過程で観察されたベシクル膜の強いゆらぎと形態変化をcryo-TEMで観察した結果、mスケールでの形態変化がナノスケールにおいても継続していることが見出された。この現象はペルニグラニリン塩生成過程では一切みられなかった。両者の比較から、ベシクル膜のゆらぎが反応選択性の制御に寄与している可能性が示唆された。
3.3.アミロイド形成に及ぼすベシクルの影響
3.1節で検討した糖脂質含有ベシクル共存条件で得られたアミロイドは通常のアミロイドとは異なる形態を呈することを(cryo-)TEM観察により明らかにした。糖修飾に伴う膜構造(ゆらぎや相分離特性など)の変化がアミロイド形成の動力学に影響を与えたからだと推定される。
4.その他・特記事項(Others)
特になし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
1) 島内寿徳, 佐野泰洋, 木村幸敬 「アミロイドの形態に及ぼす糖修飾脂質の影響」, F204, 大阪 (2016) (2016年3月13-15日)(3.1、3.3節)
2) Toshinori Shimanouchi, Miki Iwamura, Yasuhiro Sano, Yukitaka Kimura, “Development of detection system of amyloid peptide from Alzheimer’s disease using lipid membranes: A quartz crystal microbalance method”, PCIFICHEM2015, BIOL1376, Hawaii (Dec 15-20, 2015) (3.1、3.3節)
3) Miki Iwamura, Toshinori Shimanouchi, Satoka Aoyagi, Yukitaka Kimura, “Relationship of accumulation pattern of amyloid protein on lipid planar membrane with fibril morphology”, PCIFICHEM2015, BIOL668, Hawaii (Dec 15-20, 2015) (3.3節)
4) Toshinori Shimanouchi, Saki Fukuma, Peter Walde, Yukitaka Kimura, “Coupling of polyaniline polymerization on giant vesicles with membrane fluctuation”, PCIFICHEM2015, BIOL780, Hawaii (Dec 15-20, 2015) (3.1、3.2節)
5) 髙橋勇貴, 島内寿徳, 木村幸敬 「バイオマス由来分子の変換反応のためのリポソーム/金属触媒複合体の調製」, 膜シンポジウム2015, P-14S, 神戸 (2015年11月25-26日) (3.1節)
6)【学生賞受賞】福間早紀, 島内寿徳, 木村幸敬 「ベシクル膜上におけるポリアニリンの重合反応による膜ダイナミクスの解析」, 膜シンポジウム2015, P-16S, 神戸(2015年11月25-26日)(3.1、3.2節)
6.関連特許(Patent)
特になし。







