利用報告書

金スパイラル構造を用いた円偏光フィルタの研究
古澤 岳
電気通信大学大学院情報理工学研究科

課題番号 :S-18-NM-0061
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :金スパイラル構造を用いた円偏光フィルタの研究
Program Title (English) :Au nano-spiral structure on polymer film for circular dichroic filter in visible region
利用者名(日本語)   :古澤 岳
Username (English) :G. Furusawa
所属名(日本語)   :電気通信大学大学院情報理工学研究科
Affiliation (English) :The University of Electro-Communications

1.概要(Summary)
我々は、極薄の新たな光学フィルタについて研究している。近年、デバイスの小型化・薄型化が進んでおり、それに伴い、光学変調素子などの小型化が求められている。しかし、実用に耐える十分な性能を有するものは、加工難度の制約により、非常に限られている。特に、光学フィルタにおいて、従来のものは多層構造であるため数ミリ厚程度のものが多く、柔軟に曲げを許容できる物は存在しない。そこで我々はナノスケールの金属の構造を利用することによって、従来の手法では実現できないような単層・極薄の光学フィルタの製作を行っている。金属のナノ構造で光学変調を実現し、透明なポリマーを用いた薄膜状の基盤にその金属構造を配置することによって曲げを許容できるような極薄のフィルタの製作を達成する。

2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
 日本分光 円二色性分散計 J-725

【実験方法】
製作した金属のナノ構造をスコッチテープを用いて転写してフィルタ化を行った。光学特性の評価はフィルタを円二色性分散計専用のガラスセルに張り付けて、透過光を計測することによって行った。計測の際に、スコッチテープが有する円二色性の影響を除去するために、計測するスコッチテープの向きを統一して、金属構造を配置しているものと配置していないものの比較を行い、性能を評価した。波長の範囲を200nm~1100nm、波長のステップ間隔は0.2nm、積算回数は3回で計測を行った。また、金属のナノ構造によって光学特性が実現されているのかの検証のために、金属の滑らかな薄膜についても計測を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 円二色性分散計で計測したところ、可視光領域において、自然材料(タンパク質など)では発生しないような非常に強い円二色性が実現できていることが確認できた。また、金属の滑らかな薄膜ではこの特性が確認できなかった事から、ナノ構造を製作することによってこの特性が発現していると言える。この特性を実現しているのは金属のナノ構造であるため、単層で非常に薄い光学フィルタへの応用可能性を示すことができたと考えられる。

4.その他・特記事項(Others)
なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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