利用報告書

金属ナノ粒子のレーザー加工とその形状評価
平柳祐太, 須田祥功, 井村考平
早稲田大学先進理工学部 化学・生命化学科

課題番号 :S-16-MS-1081
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :金属ナノ粒子のレーザー加工とその形状評価
Program Title (English) :Laser-processing and form assessment of metal nanoparticles
利用者名(日本語) :平柳祐太, 須田祥功, 井村考平
Username (English) :Yuta Hirayanagi, Yoshinori Suda, Kohei Imura
所属名(日本語) :早稲田大学先進理工学部 化学・生命化学科
Affiliation (English) :1) School of Advanced Science and Engineering, Waseda University

1.概要(Summary )
金属や半導体のナノ粒子は化学合成法や電子線リソグラフィー法により作製することが可能である。しかし,これらの方法で作製された試料は,多くの場合,表面に凹凸や欠陥が存在するため,理論計算との比較が困難である。本申請課題では,ピコ秒およびナノ秒レーザーを用いて,ナノ粒子をレーザーアブレーションし,球形粒子の真球度向上とサイズの均一化を目指した。試料は,金および酸化亜鉛ナノ粒子を対象とした。加工した試料の形状は,走査型電子顕微鏡(SEM)により評価した。金ナノ粒子を用いた研究では,加工した金ナノ粒子を用いて二量体,三量体を調製し,金属ナノ粒子集合体における非線形光学特性を明らかにした。一方,酸化亜鉛ナノ粒子をもちいた研究では,発光や第二高調波発生に顕著なサイズ依存性が存在することが明らかとなった。
2.実験(Experimental)
光源としてピコ秒レーザーシステム(波長:800 nm,400 nm,繰り返し:1 kHz,パルス幅:2~3 ps,施設利用公開装置)およびナノ秒パルスレーザー(波長:532 nm,355 nm,繰り返し:10 Hz)を用いて,金ナノ粒子(直径100 nm)および酸化亜鉛ナノ粒子のレーザー加工を行った。加工後のナノ粒子の形状は,電界放出形走査型電子顕微鏡(FE-SEM, JEOL JSM-6700F, 施設利用公開装置)を用いて評価した。レーザー加工して調製した試料の光学特性は,暗視野散乱測定,線形発光測定,非線形発光測定により評価した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1(a,b)にレーザー加工後の金ナノ粒子と酸化亜鉛粒子のSEM像をそれぞれ示す。SEM像から,両試料ともに真球度の高い粒子が作製されていることがわかる。酸化亜鉛ナノ粒子では,レーザー照射時間とともに粒径が大きくなることが明らかとなり,サイズ制御が可能であることが明らかとなった。
作製した金ナノ粒子を用いて二量体,三量体を合成し,二光子誘起発光の計測を行った。これらの集合体の二光子励起発光断面積が,106-7GM(GM=10-50 cm4 photon-1 s)オーダーとなることがわかった。
調製したZnOナノ粒子の発光特性を計測し,波長380 nmにバンド端発光と波長530 nmに欠陥発光が観測されることが明らかとなった。単一粒子計測から,発光および第二高調波発生にサイズ依存性があることが明らかとなった。

図1.レーザー加工後の(a)金ナノ粒子と(b)酸化亜鉛粒子の走査電子顕微鏡像。
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) T. Uchida, Y. Yoshikawa, M. Tamura, T. Iida and K. Imura, J. Phys. Chem. Lett., 7, 3652 (2016).
(2) 神保敦子・西角友維・井村考平,液液界面に作製した金ナノ粒子薄膜の光学特性と光化学反応性,日本化学会第97春季年会,平成29年3月16日
(3) 馬昭明・平柳祐太・井村考平,金ナノ粒子二光子発光における励起特性の究明,日本化学会第97春季年会,平成29年3月16日
6.関連特許(Patent)
なし。

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