利用報告書
課題番号 :S-20-NR-0035
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :階層性コロイド材料表面の秩序構造の導入とその機能の研究
Program Title (English) :Research on the ordered structure on the surface of hierarchical colloidal materials and their functions
利用者名(日本語) :島内寿徳1)
Username (English) :T. Shimanouchi1)
所属名(日本語) :1) 岡山大学大学院環境生命科学研究科
Affiliation (English) :1) Okayama University
1.概要(Summary )
我々は現在界面活性剤が形成する脂質二分子膜の閉鎖系小胞であるベシクルを基盤材料として、それに高分子や金属錯体を導入した「階層性コロイド材料」を開発し、その機能創発を目指している。しかし、階層化によるナノ構造への影響は不明である。そのため、本支援事業を利用してcryo-TEM観察を行い、階層性コロイド材料のナノ構造を検討した。
2.実験(Experimental)
3.結果と考察(Results and Discussion)
亜臨界水乳化法により、リン脂質DMPCを用いた迅速ベシクル調製を行った。その結果、図1のようにベシクルが見られたが、同時にエマルションも見られた。リン脂質濃度を高めることにより、ベシクル収率の改善の余地がある。
図1 亜臨界水乳化法/溶媒拡散法によるリン脂質DMPCのベシクル調製
本調製法では、Span40/Tween40 (50:50 wt%)はレンズ状ベシクルを形成する。これに10wt%相当のPEG-PE脂質を導入した際、図2のようにレンズ状形態を維持していた。それゆえ、PEG脂質による階層化はベシクル形態に影響を与えないことが分かった。
図2 Span40/Tween40系のレンズ状ベシクルへのPEG脂質導入の効果.
4.その他・特記事項(Others)
NAISTの安原主馬准教授及び技術職員藤田咲子氏に御担当いただいた。現在、成果の一部を、Colloids and Surfaces Bに投稿中である(T. Shimanouchi, T. Hayashi, K. Toramoto, S. Fukuma, K. Hayashi, K. Yasuhara, Y. Kimura)。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) S. Fukuma, T. Shimanouchi, K. Yasuhara, Y. Kimura, Analysis on adsorption behavior of horse radish peroxidase to phospholipid and surfactant membranes, Solvent Extr. Res. Dev., Jpn., 27, 113-123 (2020).
(2) 島内 寿徳, 寅本 和輝,木村 幸敬, 亜臨界水乳化法に基づくSpan/Tween系ベシクルの調製:相図と形態,化学工学会第86年会, 令和3年3月20日(発表日).
*論文(1)にはナノプラへの謝辞が含まれていないが、NAISTの安原主馬准教授が著者の一人である。
6.関連特許(Patent)
なし