利用報告書
課題番号 :S-19-SH-0004
利用形態 :共同研究型支援
利用課題名(日本語) :電子部品用機能性薄膜の開発
Program Title (English) :
利用者名(日本語) :吉岡忠彦、塩原菜摘
Username (English) :
所属名(日本語) :KOA株式会社 要素技術開発グループ
Affiliation (English) :
1.概要(Summary )
柱状組織を有する薄膜抵抗体上にキャップ層を連続成膜し、深さ方向分析を実施することで、成膜プロセス中の不純物混入に関する知見が得られた。
2.実験(Experimental)
ガラス基板上にスパッタリングにて抵抗膜を約400nm形成した後、真空中に保持したまま連続でキャップ層を約10nm形成した。表面から約200nmまでを約60nm刻みでArエッチングし、XPSで各箇所の組成を分析した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1は抵抗膜のみの断面TEM像である。幅数十nmの柱状構造が形成されており、柱状構造間に隙間が見られることから、疎な膜であることが確認できる。スパッタリング後、大気露出した際にこの隙間に不純物が入り込むのではないかと考え、真空中に保持したままキャップ層を形成し、深さ方向分析を実施した結果を図2に示した。
分析深さに伴ってキャップ層の組成比がなだらかに低下していることから、表面から約50nmの深さまでは柱状構造の隙間にキャップ層が入り込んでいることがわかる。また、50nmより深いところにも不純物が10atm%程度存在していることから、大気露出により不純物が入り込むのではなく、スパッタリング中に膜中に不純物が取り込まれていることがわかった。
4.その他・特記事項(Others)
本件実施に当たって、信州大学ナノテクPF事業の橋本佳男教授および森本信吾氏にご協力頂いた。またTEM観察では、同大学基盤研究支援センター機器分析支援部門の山上朋彦氏、XPS解析では、先鋭材料研究所の小畑美智子氏に技術的支援を頂いた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし