利用報告書
課題番号 :S-16-KU-0014
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :高分子に含有する成分の劣化解析
Program Title (English) :Degradation analysis of the components contained in polymers
利用者名(日本語) :武居 尚英
Username (English) :Naohide Takesue
所属名(日本語) :三菱化学(株) 黒崎事業所 開発研究所 分析技術
Affiliation (English) :Mitsubishi Chemical Corporetion, Kurosaki Plant, R&D Center, Analytical Technology Section
1.概要(Summary )
高分子に含有する添加剤の劣化状態や、オリゴマー成分の組成ついて把握する為、Q-TofMSを用いた高分解能測定やMS/MS測定を行った。また、成型したフィルムに見られた異物分析技術確立を目的として、高速レーザーラマン顕微鏡の利用検討を行った。
2.実験(Experimental)
超高速 HPLC 分離・分子構造分析システムの一部である、Bruker製micrOTOF-QⅢおよびそれに付随する島津製HPLCを用いた分析を行った。
また、高速レーザーラマン顕微鏡を活用した異物分析検討を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
LC/Q-TofMSを活用した分析検討では、添加した界面活性剤などの劣化解析や、色素の変性について精密質量測定や、MS/MS測定を活用した分析解析を行った。本年度は、予定していたポリマーの準備が遅れ、装置利用頻度が低い状態となった。昨年度も問題となったが、分子量が1000に近い成分では、精密質量に微妙なズレが生じる為、MS/MSより得られた開裂情報を加味した解析を行い、劣化機構の推定を行った。ポリマー中に含まれるオリゴマー成分のポリエーテルの繰り返しユニットとそれに付随する官能基部分の質量変化により、オリゴマー成分の官能基部分に酸化劣化が起こっている可能性が高い事が確認できた。
今期は、新たな試みで高速レーザーラマン顕微鏡を活用したフィルム内部に発生した異物分析検討を行った。本装置で何らかの情報が得られる可能性は確認できたが、データ処理情報を含めてさらなる検討が必要である事が確認できた。
4.その他・特記事項(Others)
LC/Q-TofMSについては、測定時にLCポンプの動作不良やイオン源の詰まり、汚れがみられる場合があった。改善頂けると時間節約になる。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。