利用報告書

高分子接合界面の構造・物性解析
下栗 大器
日東電工株式会社

課題番号 :S-15-KU-0011
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :高分子接合界面の構造・物性解析
Program Title (English) :Structural and physical properties analysis of polymer adhesive interface
利用者名(日本語) :下栗 大器
Username (English) :Taiki SHIMOKURI
所属名(日本語) :日東電工株式会社
Affiliation (English) :Nitto Denko Corporation

1.概要(Summary)
粘着テープは液晶テレビ、スマートフォン、自動車など幅広い用途で使用されている。様々な特徴を持つ材料に対する接着信頼性を制御するためには、粘弾性や架橋などのバルク物性の制御に加えて、接着界面における分子レベルでの相互作用や構造制御が重要と考えられる。
そこで本検討ではこれまで解析が困難であった接着界面の構造を明らかにし、接着特性との関係について検討した。得られた結果から、界面構造とテープの接着特性に相関があることが示唆された。
2.実験(Experimental)
ガラスへの接着信頼性が異なる粘着テープについて信頼性向上のメカニズム解明を行った。これらの粘着剤はガラスに対する接着力が異なるが、動的粘弾性やSSなどバルク物性に差がないことを確認している。そこで界面評価として粘着剤表面の分子構造解析を行った(ナノテクプラットフォーム支援機器:環境制御型多機能走査プローブ顕微鏡(AFM)、表面・界面分子振動解析装置(和周波分光)を利用)。
3.結果と考察(Results and Discussion)
 ガラス被着体への接着信頼性が異なる粘着テープについて信頼性向上のメカニズム解明として表面粘弾性および接着界面の構造解析を行った(ナノテクプラットフォーム支援機器:環境制御型多機能走査プローブ顕微鏡(AFM)、表面・界面分子振動解析装置(SFG)を利用)。
 表面粘弾性評価として行ったAFMフォースカーブより、接着信頼性の良好な粘着剤ではナノレベルでの接着性が向上していることを確認した。さらに接着界面の分子構造をSFG分光に基づいて解析した。接着信頼性が良好な粘着剤では粘着剤組成に含まれる水酸基または、粘着剤表面に吸着した水分子に起因する水酸基のピーク強度が高くなること、またこれらの水酸基の一部は粘着剤表面に対して垂直方向に配向していることを確認した。このように粘着剤表面がガラス被着体に対して相互作用しやすい分子構造をとることが、接着信頼性の向上に寄与したと考えられる。今回の成果は接着信頼性向上の設計指針に繋がる成果であり、今後の粘着剤設計に反映させる。

4.その他・特記事項(Others)
九州大学大学院工学研究院 田中 敬二 教授
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし

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