利用報告書

高効率発光OLEDの開発
伊藤 麻絵,塚本 優人,二星 学,川戸 伸一,三ツ井 精一
シャープ株式会社

課題番号 :S-15JI-0032
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :高効率発光OLEDの開発
Program Title (English) :Development of high-efficiency organic light-emitting diodes
利用者名(日本語) :伊藤 麻絵,塚本 優人,二星 学,川戸 伸一,三ツ井 精一
Username (English) :A. Ito, Y. Tsukamoto, M. Niboshi, S. Kawato, S. Mitsui
所属名(日本語) :シャープ株式会社
Affiliation (English) :Sharp, Co., Ltd.

1.概要(Summary)
高効率OLEDの積層構造において、発光層の周辺材料の最適化を図ることが重要である。我々は、特にホール注入層の最適化に着目し、駆動電圧の低減と発光効率の向上の達成を目指している。
検討中の素子では、ホール注入層として材料(A)と材料(B)の共蒸着層を用いている。過去の検討結果から、ホール注入層の組成変化と発光効率、駆動電圧などのデバイス特性の間に相関があることがわかっている。
そこで、ホール注入層の組成変化に伴う電子構造の変化からホール注入のメカニズムを明らかにすることを目的として、光電子分光測定を行う予定である。
本報告書では、まず材料(A)と材料(B)のイオン化ポテンシャルを決定するため、各々の単層膜をPYSで測定した結果について報告する。

2.実験(Experimental)
装置名:PYS-IPES(テックサイエンス社製)
実験手順:ITO基板(膜厚100nm,基板サイズ18mm角×下地ガラス基板の厚さ0.7mm)にUV-O3処理(30秒)を施した後、材料(A),(B)を真空蒸着したもの(それぞれ膜厚20nm)を測定サンプルとした。サンプルは大気中での汚染を防ぐため測定直前まで窒素雰囲気下で保管した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
材料(A),(B)のPYS-IPESの測定結果をFig.1に示す。Fig.1から、材料(A),(B)のイオン化ポテンシャルはそれぞれ5.9eV,5.8eVと決定できた。

Fig.1 材料(A),(B)の光電子スペクトル

今後は引き続き(A)、(B)単層膜および混合膜サンプルのPYS-IPES測定、XPS測定を行い、電子構造の解明を行いたい。

4.その他・特記事項(Others)
本測定を実施するにあたりご支援頂いた北陸先端科学技術大学院大学ナノマテリアルテクノロジーセンターの村上達也技術職員、村田英幸教授にこの場を借りて御礼申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
準備中。

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