利用報告書

高導電率の導電性高分子の開発
田中 修平
テイカ株式会社 大阪研究所

課題番号(Application Number):S-16-NR-0019
利用形態(Type of Service):共同研究
利用課題名(日本語) :高導電率の導電性高分子の開発
Program Title (English) :Development of high conductivity conductive polymer
利用者名(日本語) :田中 修平
Username (English) :S. Tanaka
所属名(日本語) :テイカ株式会社 大阪研究所
Affiliation (English) :TAYCA CORPORATION OSAKA RESEARCH LABORATORY

1.概要(Summary )
電極用途やキャパシタ材料などに使用されている導電性高分子は高導電化が期待されている。ITOと同等レベルの導電率を達成すべく、導電性高分子のさらなる高導電化について研究している。本研究では弊社で開発した導電性高分子の酸化状態に関する知見を得るため、X線光電子分光による評価を行った。

2.実験(Experimental)
ESCA(X線光電子分光)
フィルム状にした導電性高分子に含まれる硫黄のX線光電子スペクトルを測定した。導電性の異なる複数の導電性高分子を測定試料に用いた。測定は奈良先端大・ナノテクノロジープラットフォームを通じて、アルバック・ファイ社製PHI 5000 VersaProbeⅡを使用した。線源はMgのKα線を用いた。

アルバック・ファイ社製PHI 5000 VersaProbeⅡ

3.結果と考察(Results and Discussion)
代表的な高導電性および低導電性の導電性高分子のX線光電子スペクトルを図に示す。得られた光電子スペクトルから、中性のチオフェンに由来するピーク波形は見られず、高酸化状態の硫黄に由来する高エネルギー帯のピークが観測された。とくに導電率が高い導電性高分子は、導電率が低い導電性高分子よりも、導電物質由来のピークが大きく、導電物質のピークの割合が高いことがわかった。以上のことから高導電性に向けた適切な酸化状態に関する分子設計指針が得られた。

4.その他・特記事項(Others)
 ご指導を頂いた物質創成科学研究科の野々口斐之助教に感謝の意を表します。
ESCAの分析方法や考察方法のご指導を頂いた研究・国部研究協力課の岡島康雄様、MALDIを測定していただいた研究課員の西山様に大変お世話になりました。心より感謝いたします。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
特になし。

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