利用報告書
課題番号 :S-17-NM-0024
利用形態 :共同設備利用
利用課題名(日本語) :高性能二次元電気泳動法を用いた次世代プロテオミクス法の開発
Program Title (English) :Development of next generation proteomics using high performance two dimensional electrophoresis
利用者名(日本語) :林 宣宏
Username (English) :N. Hayashi
所属名(日本語) :東京工業大学生命理工学院
Affiliation (English) :School of Life Science and Technology
1.概要(Summary )
“高性能二次元電気泳動法を用いた次世代プロテオミクス法の開発”の一環として、申請者が独自に開発した二次元電気泳動法で得られたゲル上のスポットを形成するタンパク質の、高精度、かつ、ハイスループットの同定法を開発する。本年度は、CTガイド下の生検など医原性の低線量放射線被爆が皮膚の炎症に関与する肥満細胞のタンパク質発現に及ぼす影響を観るという研究において、実施した。
2.実験(Experimental)
NIMS分子・物質合成プラットフォームのLC-MS/MS(LXQ)、および、LC-MS/MS (Q-Exactive)を使用して、申請者が調製する、切り出した二次元電気泳動のスポットのゲル内プロテアーゼ消化産物を用いたタンパク質の同定を行う。単独培養およびヒト表皮角化細胞(human primary keratinocyte; HPK)との共培養条件下の肥満細胞株(LAD2)に0.01Gy、0.1Gy、0.5Gy、1Gyの線量のX線を照射し、被爆30分後のタンパク質発現変化を二次元電気泳動法により検出した。また、二次元電気泳動像において閾値1.2倍以上のスポットを”有意な変化を示したスポット”とし、質量分析により同定を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
単独培養、共培養それぞれのcontrol VS 10 mGyの比較において有意な変化を示したスポット(Fig.1)に関して質量分析による同定を行った。その結果単独培養サンプルでは16個、共培養サンプルでは20個のスポットを同定し、その結果から以下の考察が得られた。
•解糖系に関与する2つのタンパク質α-enolase(ENOA_HUMAN), Pyruvate kinase PKM(KPYM_HUMAN)が低線量被曝においては発現量が増加している一方、1 Gyの線量においては発現量が減少していることが確認できた。低線量放射線のHIF-1a誘導により、通常状態では細胞はミトコンドリアの酸化的リン酸化によりエネルギーを獲得するが、低線量放射線により好気的解糖系への代謝転換を行うようになり、結果として低線量放射線に対し適応応答を取りストレス耐性を示すという結果と矛盾しない結果が得られた。解糖系に関わるタンパク質としてTriosephosphate isomerase(TRIS_HUMAN)の変化に関して、新たに線量ごとにおける変化を追うことができた。
•低線量領域においても線量依存的な動きをするタンパク質や低線量領域においてのみ変化量が異なるタンパク質(LAD2)が存在する事が確認できた。
4.その他・特記事項(Others)
NIMS服部晋也氏、竹村太郎氏にLC-MS/MS解析の支援をいただいた。
本研究は、順天堂大学大学院医学研究科田部陽子博士との共同研究である。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) K Sekihara, K Saitoh, H Yang, H Kawashima, S Kazuno, M Kikkawa, H Arai, T Miida, N Hayashi, K Sasai, Y Tabe, PLOS ONE, 投稿中
6.関連特許(Patent)
なし







