利用報告書
課題番号 :S-16-SH-0011
利用形態 :共同研究型
利用課題名(日本語) :高性能EDLC用電極材料の開発
Program Title (English) :Development of high performance electrode for EDLC
利用者名(日本語) :白鳥久志
Username (English) :H.Shiratori
所属名(日本語) :ルビコン株式会社
Affiliation (English) :Rubykcon Corporation
1.概要(Summary )
農林水産物由来物質は酸素やナトリウム等の異種元素を多く含む天然材料であるため、炭素化および賦活(NaOH, KOH等)により、異種元素が脱離することで細孔を形成され、高い比表面積を有するバイオナノカーボン(活性炭)が得られる。かかるバイオナノカーボンを電極に用いた高性能エネルギーデバイス(電気二重層キャパシタ(EDLC)等)の可能性を検討する。
殊に出発原料に海藻、植物、発酵工程等から得られる増粘多糖類(残渣)を用いて、炭素ナノ構造を精緻に制御して炭化、賦活することで新規バイオナノカーボンを調製し、高性能キャパシタ等の電極材に応用する。
2.実験(Experimental)
出発原料の増粘多糖類の構造が炭化後も反映されるため、残渣を中心に分子量等が異なる数十種類の出発原料を対象とした。主に炭化温度、賦活温度、賦活剤添加量について検討し、バイオナノカーボンを調製した。その後、それを両極としたEDLC試験コインセルを作製して、静電容量を測定した。ナノ構造解析にCs-corrected TEMを有効活用した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1にバイオナノカーボンと市販電極材の放電容量特性の比較を示す。当社では一般に高容量型と急速充放電型の2種類を使い分けているが、得られた新規バイオナノカーボンによるEDLCはレート特性の向上により、両者の特性を兼備し、かつ重量比容量および体積比容量共に静電容量も大きく上回っていることが分かる。年々特性が向上しており、当該年度のサンプルにおいて高特性が得られた。特に実用上において重要な体積当たりの容量が大きく向上し、高いレート特性を有している。改めて増粘多糖類由来バイオナノカーボンのEDLC用電極材料としての有用性が示された。一般に賦活材としてKOHが適しているが、本バイオナノカーボンは、KOHに比べてNaOHによる賦活効果が大きいのが特長で大幅な低コスト化が期待できる。
図1 バイオナノカーボンと市販電極の静電容量特性
得られた条件においてバイオナノカーボンの大量合成およびアルミ板上の電極形成を行い、EDLCの試作品(50F/2.5V)を作製した。出発原料の探索やバイオナノカーボンの条件最適化により、更なる特性向上を図る。
4.その他・特記事項(Others)
炭化、賦活等の合成法に関して竹内准教授に協力をいただきました。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 論文投稿中
6.関連特許(Patent)
なし。