利用報告書
課題番号(Application Number):S-16-NR-0032
利用形態(Type of Service):共同研究
利用課題名(日本語) : 高活性チタニア電極上へのナノ粒子の担持とその応用
Program Title (English) : Deposition and its application of AuNP on active TiO2 electrode
利用者名(日本語) :東田 卓、中野 源太
Username (English) : S. Higashida, G. Nakano
所属名(日本語) : 大阪府立大学工業高等専門学校
Affiliation (English) : Osaka Prefecture University College of Technology
1.概要(Summary)
当研究では、金ナノ粒子を担持した高活性チタニア電極を用いた3Dフォトリソグラフィーを検討している。フォトレジストにフォトクロミック分子を含むモノマー溶液を用いることで、金ナノ粒子による局在表面プラズモン共鳴(LSPR)が起こった近傍にてフォトクロミック分子の消色およびモノマー重合が連鎖的に進行することが期待できる。
今年度の研究では、フォトクロミック分子の消色速度に注目し、光電着法による金ナノ粒子の担持形態(分布や粒径)および表面ゾル-ゲル法による金ナノ粒子とフォトクロミック分子間の距離の影響を調べた。尚、本研究ではフォトクロミック分子としてターアリーレン骨格のT3-OHを用いた。
2.実験(Experimental)
金ナノ粒子担持チタニア電極試料の作製
TiO2(P25)を含むペーストをスキージ法でFTO導電性基板に塗布し、ペーストを焼結しTiO2電極を得た。
作製した電極に塩化金酸(Ⅲ)水溶液(犠牲試薬に2-プロパノールを含む)を滴下後、ソーラーシミュレーターで電極に紫外光照射を行い、金ナノ粒子を担持させた。その後、電極を水で洗浄した。紫外光照射時間は30秒、60秒、120秒の試料を作製した。(光電着法)
チタニアゾルに電極を3分間浸し、エタノールで電極を洗浄後、電極表面に吸着したチタニアゾルを加水分解した。各光電着時間に対して、この操作を0回、5回、10回行った試料を作製した。(表面ゾル-ゲル法)
金ナノ粒子担持チタニア電極の表面観察
光電着法によって金ナノ粒を担持させたチタニア電極表面を、貴校のSTEMにより観察を行った。
T3-OHの消色速度測定
UV照射し着色させたT3-OHを含む溶液に電極を浸し、波長520 nmの光を電極に照射した。20秒毎に溶液の吸光度を測定し、消色速度を求めた。
3.結果と考察(Results and Discussion)
金ナノ粒子担持チタニア電極の表面観察
Fig.1にSTEMによる紫外光照射時間30秒における電極表面画像を示す。
Fig.1 紫外光電着時間30秒における電極表面画像
各紫外光照射時間において金ナノ粒子の担持が確認できた。また、照射時間の増加により、金ナノ粒子の分布数が増加したが、粒径に大きな変化はなかった。
T3-OHの消色速度測定
紫外光照射時間(金ナノ粒子の分布数)の増加と、表面ゾル-ゲル回数 (金ナノ粒子とフォトクロミック分子間距離)の増加が、消色速度を上昇に寄与すること分かった。しかし、照射時間が120秒では、表面ゾル-ゲル回数の増加による消色速度の変化はなかった。原因として、金ナノ粒子の分布数が過剰なために、金ナノ粒子同士でのクエンチまたは、金ナノ粒子表面にチタニアが積層していないことが考えられる。
4.その他・特記事項(Others)
本研究は貴校河合研究室との共同研究であり、JSPS科研費JP2606の助成を受けたものである。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) G. Nakano, 第19回工業高等専門学校生 化学研究発表会, 平成29年3月14日
6.関連特許(Patent)
なし。







