利用報告書
課題番号 :S-17-TU-0001
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :高磁場固体NMRによるアルミノケイ酸塩ガラス中の陽イオン局所構造決定
Program title (English):Local structure of cationic species in aluminosilicate glasses using high-field solid-state NMR spectroscopy
利用者名(日本語) :助永壮平,柴田浩幸
Username (English) :Sohei Sukenaga, Hiroyuki Shibata
所属名(日本語) :東北大学多元物質科学研究所
Affiliation (English) :Institute of Multidisciplinary Research for Advanced Materials, Tohoku University
検索キーワード :酸化物ガラス、NMR測定
1.概要(Summary )
JNM-ECA800 FT NMR装置において、酸化物ガラスの27Al, 23Na,11B magic angle spinning (MAS) NMR測定を行い、これらの陽イオン近傍の局所構造を明らかにした。また、27Al核および23Na核については、multiple-quantum (MQ) MAS NMR測定を行い、さらに詳細な構造情報を取得した。ここでは、一例として、27Al MAS NMR測定結果を紹介する。
2.実験(Experimental)
試料は、溶融法で作製したMgO-SiO2-Al2O3ガラスであり、これをメノウ乳ばちを使用して微粉砕した。得られたガラス粉末をf3.2mmのZrO2製試料管に充填し、20 kHzで回転させながら、27Al MAS NMRスペクトルを測定した。1次元のMAS NMRスペクトルはシングルパルスにより計測した。2次元スペクトルを取得するMQ MAS NMR測定では、z-filter型のパルスシーケンスを利用した。
利用した装置:
3.結果と考察(Results and discussion)
結果の一例として、MgO-SiO2-Al2O3ガラスの27Al MAS NMRおよび同MQMAS NMRスペクトルをFigure 1(a)および(b)に示した。図より、1次元の27Al MAS NMRスペクトルは、ブロードであり、ガラス中のアルミニウムイオンのサイトがいくつ存在するか判別困難であった。MQMAS NMR測定により、スペクトルを二次元展開することで、ガラス中のアルミニウムイオンのサイトが二つであり、酸素4配位と酸素5配位構造のアルミニウムが存在していることが明らかになった。現在、それぞれのアルミニウムイオンのサイトの定量化を進めており、論文投稿により、成果報告を行う予定である。
4.その他・特記事項(Others)
支援者:巨大分子解析研究センター、吉田慎一郎
科研費:課題番号16H04543, 代表者柴田浩幸
謝辞:
本研究の一部は、文部科学省委託事業ナノテクノロジープラットフォーム課題として物質・材料研究機構微細構造解析プラットフォーム(NMCP)の支援を受けて実施されました。東北大学巨大分子研究解析センターの吉田慎一朗氏のMQ MAS NMR測定における技術支援に深く感謝いたします。
A part of this work was supported by NIMS microstructural characterization platform (NMCP) as a program of “Nanotechnology Platform” of the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology(MEXT), Japan. We are grateful to Mr. Shinichiro Yoshida in Research and Analytical Center for Giant Molecules (Tohoku University) for supporting MQ-MAS NMR measurements.
5.論文・学会発表(Publications)
例えば、遠藤貴彦, 助永壮平, 柴田浩幸
「レーザーフラッシュ法によるLi2O-SiO2-Al2O3系ガラスの熱伝導度測定」日本セラミックス協会第30回秋季シンポジウム(口頭発表)2017年9月
6.関連特許(Patents)
なし