利用報告書

高結晶性電解質膜の成膜
舟山 啓太
株式会社 豊田中央研究所 戦略先端研究領域

課題番号 :S-17-OS-0022
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :高結晶性電解質膜の成膜
Program Title (English) :Deposition of a high crystalline solid electrolyte film
利用者名(日本語) :舟山 啓太
Username (English) :K. Funayama
所属名(日本語) :株式会社 豊田中央研究所 戦略先端研究領域
Affiliation (English) :Strategic innovativerresearch-domain, Toyota central R&D labs. Inc.
キーワード/Keyword    :固体電解質、イオン伝導体、人工超格子薄膜形成システム(PLD)

1.概要(Summary)
LiLaTiO3(LLTO)はLiイオン電池用の固体電解質として、現在、実用化に向けて研究が進められている。固体電解質は、現在の液体有機電解質に比べて、化学的・電気的・機械的に安定しているため、安全性や信頼性の面で適している。しかしながら、多くの固体電解質はイオン電導性が非常に低く、実用化がかなり制限されている。
LLTOのLiイオン電導度は、その結晶性によって大きく変化することが知られている。
本課題では、パルスレーザー堆積法(PLD法)用いて高い結晶性を有したLLTO薄膜の成膜を試みた。大阪大学ナノテクノロジー設備供用拠点の有するPLD装置では、高温で基板加熱しながら成膜できるため、高い結晶性を持つ薄膜を得ることが期待できる。
LLTO成膜後、XRD測定によって固体電解質の結晶性を評価した。

2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
S01 パルスレーザーMBE装置(PLD)
 (誠南工業、PLO-020R)

【実験方法】
PLDにより、SrTiO3基板上にLiLaTiO3(LLTO)薄膜を成膜した。成膜は900℃、酸素雰囲気10Paの下で5時間かけて行った。レーザー周波数と出力は10Hz-100mJとした。
成膜後、スキャン角度20°から70°の間でLiLaTiO3薄膜に対してX線回析を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
作製したLLTO薄膜のXRD測定結果をFig1に示す。基板となるSTO結晶(100)面と LLTO結晶(100)面は非常に近い格子定数を持つことから、適した条件下で成膜されたLLTO結晶は(100)配向する。Fig1より、成膜したLLTOはSTO(100)面と非常に近いピークを持ち、(100)配向した高い結晶性を有することが示された。

Fig1. XRD pattern of the LLTO film deposited on STO substrate.

4.その他・特記事項(Others)
なし

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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