利用報告書
課題番号 : S-19-NI-0024
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :高電力パルススパッタ方式により形成した硬質薄膜の特性
Program Title (English) :Properties of hard films prepared by high power pulsed sputtering system
利用者名(日本語) :木村 高志1)
Username (English) :T. Kimura1)
所属名(日本語) :1) 名古屋工業大学大学院工学研究科
Affiliation (English) :1) Graduate School of Engineering, Nagoya Institute of Technology
1.概要(Summary )
JEM-ARM200Fを用いて、高電力パルススパッタ方式で作製した3元系遷移金属窒化コーティング膜(TiSiN膜ならびにTiVN膜)のHRTEMによる膜構造観察を行い、さらに、STEM-EDS法による元素マッピングを実施する。
2.実験(Experimental)
試料はシリコン基板に高電力パルススパッタぺニング放電によって作製した高硬度なTiSiNならびにTiVN膜である。TiSiN膜についてはTiSiターゲットのSiとTiの成分比を3:17、Ar/N2混合ガスの圧力を0.7 Pa、最大瞬時電力15kW(平均電力60W)に設定し、基材温度を420℃程度に保ちながら成膜を行った。TiVN膜についてはTiターゲットとVターゲットの面積比を1:1とし、TiSiN膜の作製と同様な条件で 成膜を行った。これら試料の断面薄片試料のHRTEM観察を行った。
利用装置:
原子分解能分析電子顕微鏡(JEM-ARM200F)
3.結果と考察(Results and Discussion)
高電力パルススパッタにより作製されたTiSiN膜は30 GPaを超える高硬度な特性を有していたが、その機械特性や膜の構造は膜中のシリコン含有量に依存していた。シリコン含有量と微細構造の関係では、一般にシリコン含有量が微量の時は固溶による高硬度化ができる。シリコン含有量の増加に伴い、形成された非晶質な窒化シリコン層がTiN微結晶の周りを取り囲む構造を有すると考えられている。本方式で形成したTiSiN膜の構造をHRTEMにより調査した。図1に示すように、TiSiN膜は主に、サイズが5-6nm程度以下の多結晶と非晶質層から構成されていた。しかしながら、予測した窒化チタン微結晶と窒化シリコン非晶質層の明確な分離がSTEM-EDS分析からは観察されなかった。
Fig.1 HRTEM image of TiSiN film
一方、TiVN膜に関しては、走査透過電子顕微鏡像で高硬度化に適すると考えられる10nm程度のナノ多結晶構造が観察された。またSTEM-EDS法による元素マッピングから粒界への偏析は無いことがわかった。
4.その他・特記事項(Others)
本研究(の一部)はJSPS科研費 JP17K06298の助成を受けておこなわれました。原子分解能分析電子顕微鏡で表面観察・表面分析の技術代行を名古屋工業大学 浅香 透 准教授にしていただき 深く感謝しております。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) T. Kimura, R. Yoshida, and K. Azuma, 12th Asian-European International Conference on Plasma Surface Engineering, 令和元年9月3日
(2) T. Kimura, R. Yoshida, and K. Azuma, 11th Asia-Pacific International Symposium on the Basics and Applications of Plasma Technology,令和元年12月13日
6.関連特許(Patent)
なし







