利用報告書

2-アミノエタンチオール修飾電極のヒドロキノンに対する電気化学応答特性評価
内藤久実1) , 高田主岳1)
1) 名古屋工業大学大学院工学研究科

課題番号 :S-16-NI-02
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :2-アミノエタンチオール修飾電極のヒドロキノンに対する電気化学応答特性評価
Program Title (English) :Electrochemical behavior of hydro quinone at 2-aminoethanethiol modified electrode
利用者名(日本語) :内藤久実1) , 高田主岳1)
Username (English) :K. Naito1), K. Takada1)
所属名(日本語) :1) 名古屋工業大学大学院工学研究科
Affiliation (English) :1) Graduate School of Nagoya Institute of Technology

1.概要(Summary)
2-アミノエタンチオール(AET)は、DNAやカーボンナノチューブなどの様々な物質を電極上に修飾する際のアンカーとして広く用いられている。本研究ではAET修飾金電極のヒドロキノンに対する特異的な電気化学応答のメカニズムの解明を目的としている。多結晶および単結晶金電極上でのキノンの酸化還元反応を詳細に検討している。

2.実験(Experimental)
13 mm x 13 mmに切断したマイカを劈開して新しい面を出し、高真空抵抗加熱蒸着装置 (JIS-300AK、シンク)内に設置した。チャンバー内の圧力を約10-4 Paまで下げ、300 °C で約2時間ベーキングした後、金を厚さ200 nm蒸着して単結晶金電極を作製した。多結晶金電極は、スパッタ装置(Quick Coating SC-701、サンユー電子)を用いて、上述のマイカ上に金を100 nmスパッタすることにより作製した。電気化学測定はポテンショスタット(HZ-5000、北斗電工)により行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
未修飾単結晶金電極の5 mMヒドロキノンを含む0.1 MNaClO4水溶液中における10 mV s-1のCV測定では、ピーク電位差Epは約90 mVであった(Fig. 1)。また、この溶液に12時間浸漬した後のCVのEpも約90 mVであった。一方、同溶液に12時間浸漬したAET修飾単結晶金電極のEpは230 mVと大きくなった(Fig. 2a)。その後+0.9 V vs. Ag/AgClを30分間印加し、再びCV測定を行うと、Epは80 mVまで小さくなり(Fig. 2b)、未修飾金電極のCVとほぼ重なった。これより、初期状態にEpが大きくなるのはヒドロキノンが関係し、その減少にはヒドロキノンの酸化が関与していることが示された。AET修飾多結晶金電極においても、同様の挙動が観察されていることから、この得意的な応答は、金電極上面の結晶状態には依存しない可能性が高いことが示された。

4.その他・特記事項(Others)
真空蒸着装置による単結晶金電極の作製は、猪股智彦准教授の技術支援により行った。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 内藤久実, 市川功二, 前田友梨, 安井孝志, 高田主岳, 湯地昭夫, 第76回分析化学討論会, 2016年5月29日.
(2) 内藤久実, 前田友梨, 安井孝志, 高田主岳, 湯地昭夫, 第35回分析化学中部夏期セミナー, 2016年9月3日.

6.関連特許(Patent)
なし。

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