利用報告書

Albuminのレンズ型ベシクルに対する相互作用メカニズムの解明
林 啓太1), 村田 祐輔1), 中村 秀美1)
1) 奈良工業高等専門学校物質化学工学科

課題番号(Application Number):S-16-NR-0037
利用形態(Type of Service):技術代行
利用課題名(日本語) :Albuminのレンズ型ベシクルに対する相互作用メカニズムの解明
Program Title (English) :Machanism of the interaction between Albumin and lens-like vesicle
利用者名(日本語) :林 啓太1), 村田 祐輔1), 中村 秀美1)
Username (English) :K. Hayashi1), Y. Murata1), H. Nakamura1)
所属名(日本語) :1) 奈良工業高等専門学校物質化学工学科
Affiliation (English) :1) Department of Chemical Engineering, National Institute of Technology,
Nara College

1.概要(Summary )
ある種の両親媒性物質は水溶液中においてミセルやベシクルといった自己集合体を形成することが知られている.我々はこれまで,非イオン界面活性剤であるSpan系界面活性剤,およびSpan系界面活性剤にPEGを付加したTween系界面活性剤を種々の割合で混合することで様々な自己集合体が形成可能であることを報告している.特に,アシル鎖が炭素数16から成るSpan 40とTween 40を等量で混合した場合,レンズ型ベシクルを形成することを報告している.これは,critical packing parameter (CPP)値を考えた場合,CPP値の大きなSpan 40は小さな曲率を,CPP値の小さなTween 40は大きな曲率を形成すると考えられるので,レンズ型ベシクルのうち,それぞれの部分をSpan 40,Tween 40が相分離して形成していると考えられる.PEGはAlbuminなどタンパク質の吸着を抑制することが知られていることから,アルブミンは曲率の小さなSpan 40から構成される部分に吸着すると考えられる.

2.実験(Experimental)
等量のSpan 40とTween 40を有機溶剤(クロロホルム:エタノール=5 : 1)に溶解した後,凍結融解法によりレンズ型ベシクルを形成した.エクストルーダーにより粒径を100 nmに調整した.AlbuminはPolybead® Polystyrene Microspheresによりラベル化した.このAlbuminをレンズ型ベシクルに添加し,各時間37 ℃でインキュベートした後,cryo-TEMによりレンズ型ベシクルを観察した.レンズ型ベシクルの曲率の大きな部分(Tween 40-rich),および小さな部分(Span 40-rich)においてビーズがどの部位に存在するかにより,Albuminがレンズ型ベシクルのどの部位に吸着するかを検討した.
3.結果と考察(Results and Discussion)
cryo-TEMにより観察した結果をFigure 1に示す.ビーズでラベル化されたAlbuminはレンズ型ベシクルに吸着することなく,それ同士が凝集していることがわかる.一般的にAlbuminは疎水性物質と相互作用するということが知られており,レンズ型ベシクルよりもビーズと相互作用しやすいためであると考えられる.従って,Albuminがレンズ型ベシクルのどの部位と相互作用するかを明らかにするためには蛍光ラベル化による蛍光共鳴エネルギー移動法など,別の方法を検討する必要がある.

4.その他・特記事項(Others)
なし.

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし.

6.関連特許(Patent)
なし.

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