利用報告書
課題番号 :S-19-MS-0026
利用形態 :協力研究
利用課題名(日本語) :C60結晶の分光研究
Program Title (English) :Optical spectroscopy of C60 crystals
利用者名(日本語) :金光義彦
Username (English) :Y.Kanemitsu,
所属名(日本語) :京都大学化学研究所
Affiliation (English) :Kyoto University
1.概要(Summary )
近年、バンドギャップよりも小さなフォトンエネルギーを持つ中赤外光や近赤外光を固体試料に照射すると、入力したフォトンエネルギーの整数倍の高次高調波発生が発生することが確かめられた。これまでの高次高調波発生は、気相において多くの研究がなされ、その発生メカニズムが詳しく議論されている。固体では、気相に比べて原子密度が高いために、より高効率な発生が期待され、様々な物質に対して研究が行われつつあり、メカニズム解明に向けて精力的な研究が行われている。分子研で作製されたC60の単結晶試料に対して京都大学で中赤外光パルスを照射の実験を行い、高次高調波発生の観測を試みた。
2.実験(Experimental)
分子研究所平本研究室で高品質C60単結晶試料を作製した。その試料を真空チェンバーに保持し、赤外光を照射した。その時に可視領域で発生する高次高調波を効率的に検出するために、透過配置とともに反射配置での実験系を構築した。計測システムの構築および計測は、京都大学化学研究所で行った。
図1高次高調波発生の実験配置
3.結果と考察(Results and Discussion)
C60の単結晶試料に、波長3.5m、パルス幅100fsの中赤外光パルスを照射して、透過配置で高次高調波発生の計測を行った。表面でレーザー光が強く散乱され、信号の計測が非常に困難であった。反射配置でも計測を行ったが、十分な信号強度を得ることができなかった。 試料として、平坦な表面を持つ大きなC60結晶あるいは平坦性の良いC60微結晶分散膜の作製が必要であることが分かった。
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし