利用報告書
課題番号 :S-19-NU-0026
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :CFRTP/アルミニウム合金接合における金属表面形状の影響
Program Title (English) :The effect of metal surface shape on CFRTP/Al alloy joining
利用者名(日本語) :瀬川 和之2) ,山中 淳彦1)
Username (English) :Segawa Kazuyuki1), Atsuhiko Yamanaka1)
所属名(日本語) :1)名古屋大学ナショナルコンポジットセンター, 2)名古屋大学大学院工学研究科
Affiliation (English) :1)National Composite Center, Nagoya Univ. 2)Graduate of engineering, Nagoya
Univ.
1.概要(Summary )
炭素繊維強化熱可塑樹脂複合材料(CFRTP)/金属における金属表面形状と接合強度の発現メカニズムとの因果関係を明らかにすることを目的として,異なるディンプルサイズを有する接合板を作製し,十字引張試験を実施した.ここで接合強度の発現メカニズムを明らかにすることを目的として,金属の表面性状および接触角測定による表面自由エネルギーを取得した.
2.実験(Experimental)
アルミニウム(Al)合金としてはA5052を使用し、ブラスト処理により表面に凹凸を形成せしめた。なお、異なるサイズの粒子の使用によりサイズの異なる凹凸をAl合金表面に形成することができた。CFRTPとしてはポリアミド6(PA6)をマトリクスとし、PAN系CFを強化繊維とする非連続CFRTPを用いた。CFRTP/Al合金の接合は熱融着法を用いた。
表面自由エネルギーは共和界面科学(株)の接触角計(DM-501)を用いて,θ / 2法によって測定した接触角からYoungの式および拡張Fowkes理論の適用により算出した.
Al合金表面の粗さは(株)Keyenceの三次元形状測定機(VR-3100)により測定し、これより求めた平均パワー周波数(MPF)を用いた.
十字引張試験は(株)島津製作所の精密万能試験機(AG-100kNXplus)を使用し,クロスヘッド変位速度は1 mm/min.で実施した.なお十字引張強度(CTS)は最大試験荷重をラップ面積(25 × 25 mm2)で除することで算出した.
3.結果と考察(Results and Discussion)
MPFと表面エネルギー(γ)及び十字引張試験強度の関係を各々図1, 2に示す。
Fig. 1 Correlation between γ and MPF |
Fig. 2 Correlation between CTS and MPF |
図1に示す様に表面自由エネルギーと表面粗さMPFは強い正の相関を示しており,細かいディンプルが多い程表面自由エネルギーが多い傾向を示している.一方、図2に示す様に十字引張強度とMPFについても正の相関がみられ,細かいディンプルが多い程十字引張強度が高い傾向にある.固体表面の凸部では,その原子や分子を支える原子や分子が平滑面に比べ少ないことから,凸部の原子や分子は不安定であるため,表面自由エネルギーが高くなる傾向にある.今回のブラスト処理で形成されたAl表面でも同様の事が起きたと考えられる.以上のことから,表面自由エネルギーを増大させることで十字引張強度を向上できると考えられる.
4.その他・特記事項(Others)
本成果は国立研究法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の業務委託の結果得られたものである.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 瀬川和之, 市来 誠, 山中淳彦, 荒井政大, 石川隆司, “CFRTP/Al 合金の接合における金属表面形状の影響”, 第11回日本複合材料会議(JCCM), 2020/3/17(1A06).
(2) 瀬川和之, 市来 誠, 山中淳彦, 荒井政大, 石川隆司,”CFRTP/Al合金の接合強度に及ぼす界面微細構造の影響”、 日本複合材料学会誌、46(No.4), P.170(2020)
6.関連特許(Patent)
なし