利用報告書

CPP(シクロパラフェニレン)関連分子の正イオン・負イオンラジカル生成とそのESR測定
加藤立久
京都大学化学研究所

課題番号 :S-19-MS-1082
利用形態 :分子科学研究所 機器センター施設利用
利用課題名(日本語) :CPP(シクロパラフェニレン)関連分子の正イオン・負イオンラジカル生成とそのESR測定
Program Title (English) :ESR measurements on cation and anion of Cycloparaphenylene.
利用者名(日本語) : 加藤立久
Username (English) : T. Kato
所属名(日本語) :京都大学化学研究所
Affiliation (English) :Institute for Chemical Research, Kyoto University

1.概要(Summary )
環状π共役分子の分子トポロジーと芳香族性やビラジカル性といった電子状態との関連が注目される。 我々は,これまで平面環状π共役分子であるシクロパラフェニレン(CPP)のジカチオンが面内芳香族性をしめすことを報告した。π共役平面が一,二回反転するもの,8の字構造を有するものについて合成に成功している。そこで新しい分子種の酸化種について,電子スピン状態を明らかにすることを行う。
2.実験(Experimental)
 あらかじめ,京都大学化学研究所にて,CPP分子に適切な酸化剤を加え,その酸化種を生成させて液体窒素で冷却して分子科学研究所まで運搬した。分子科学研究所 機器センターの共同利用設備,X-band ESR装置BrukerE500分光器とOxford 900 クライオスタットを組み合わせてESRスペクトルを測定して,極低温4K〜室温に至るまでの温度変化を記録した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
今回成功したTetra-Butoxy-CPPのジカチオン種のX-band ESRスペクトルの温度変化の記録例を下図に示す. キュリー的に温度上層と共にESRスペクトル強度が一様に低下しているようにも見えるが,全てのスペクトルを適切な異方性を持つg値を持つスペクトルとしてシミュレーションし,その強度変化

を正確にシミュレーションした結果を下図に示す.上が強度を測定温度に対してプロットした.下が強度と温度の積を温度に対してプロットした結果である.この結果を見る限りでは,このジカチオンには二重項成分と,数十度だけ熱励起される三重項成分が含まれているように見える.それぞれの成分のスピン状態をを確定するためは,酸化剤を変えるなど追加実験が必要である.

4.その他・特記事項(Others)
         なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 寺林智昭,茅原栄一,加藤立久,山子栄一, 化学会第100回春季年会, 令和2年3月24日
(2) 小野塚洸太,茅原栄一,加藤立久,山子栄一, 化学会第100回春季年会, 令和2年3月24日
(3) 孫連盛,茅原栄一,加藤立久,山子栄一, 化学会第100回春季年会, 令和2年3月24日

6.関連特許(Patent)
          なし

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