利用報告書

CuドープZnSコロイドナノ結晶の高速フォトクロミック反応
小林洋一
立命館大学生命科学部

課題番号 :S-19-JI-0033
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :CuドープZnSコロイドナノ結晶の高速フォトクロミック反応
Program Title (English) :Photochromism of Colloidal Cu-doped ZnS Nanocrystals
利用者名(日本語) :小林洋一
Username (English) :Y. Kobayashi
所属名(日本語) :立命館大学生命科学部
Affiliation (English) :Colloege of Life Sciences, Ritsumeikan University

1.概要(Summary )
申請者は、Cuをドープしたコロイド半導体ZnSナノ結晶は、固体状態で紫外光を照射すると、乳白色の粉末が灰色から黒色になり、照射を止めると数分以内にもとの乳白色へと戻る可逆的な化学反応(フォトクロミック反応)が観測されることを見出した。ESR測定からCu+がCu2+になる挙動が観測されており、それに伴う還元反応が進行していることが予想された。無機化合物を用いたフォトクロミック反応は古くから知られている一方、このような高感度且つ高速なフォトクロミック反応はいまだかつて報告例がなく、安価で耐久性の高い無機ナノ材料を用いた新しい機能材料の展開が期待される。
2.実験(Experimental)
北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)にて、X線光電子分光(XPS)測定を依頼した。XPS測定装置は、UPS AC-2を用い、紫外光照射前後の固体表面の化学状態を測定した。紫外光は、試料室のガラス窓から、UV-LEDスポット光源(LC-L1V5、浜松フォトニクス、365 nm、100 mW cm−2)を照射した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
固体のCuドープZnSナノ結晶は、紫外光照射による変色の時間が数分以内と短いため、-100℃の条件下で真空チャンバー内に存在する試料に紫外光を照射し、光照射前後のXPSスペクトルを比較することにより、化学組成の変化を調べた。図1(a)にXPSのサーベイスペクトルを示す。室温紫外光照射前において、試料には、Cu, Zn, S, C, O, Naが存在していることが分かった。Cu, Zn, SはCuドープZnSナノ結晶由来、C, Oは表面保護剤であるメルカプトプロピオン酸、Naは反応原料のカウンターカチオン由来である。サーベイスペクトルでは、低温条件における紫外光照射で大きなスペクトル変化は観測されなかった。図1bにZn 2p XPSスペクトルを示す。ESR測定から、光照射に伴ってCu+がCu2+になる挙動が観測されており、それに伴ってZn2+からZnが生成することが予想されていた一方、Znの化学組成は大きな変化を観測することができなかった。定温条件での紫外光照射により、色は大きく変化していたことから、Znの化学組成変化は極めて小さい、または変化しないことが示唆された。
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。

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