利用報告書

DMSO摂動条件下における酵素阻害剤の分子間相互作用解析法の開発
友原 啓介1)
1) 九州大学基幹教育院

課題番号 :S-18-KU-0040
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :DMSO摂動条件下における酵素阻害剤の分子間相互作用解析法の開発
Program Title (English) :Development of DMSO-perturbing assay to identify promiscuous enzyme inhibitors.
利用者名(日本語) :友原 啓介1)
Username (English) :K. Tomohara1)
所属名(日本語) :1) 九州大学基幹教育院
Affiliation (English) :1) Faculty of Arts and Science, Kyushu University

1.概要(Summary )
 利用者らは、酵素阻害剤の活性部位特異性を評価するための新規手法として、ジメチルスルホキシド(DMSO)摂動法を提唱している。DMSO摂動法は、通常のin vitro酵素阻害活性評価系にDMSOを添加したときの阻害活性の低下により、活性部位に対して非特異的酵素阻害剤を抽出するものである。本手法の作業仮説は次の通りである。DMSOを添加し、タンパク質に“可逆的な構造ゆらぎ”を与え、系中でデコイ (decoy) タンパク質を生成させ、酵素阻害剤との非特異的な相互作用を誘発する。このとき、非特異的な相互作用が起きれば、その分だけ基質との競合率が低下し見かけの結合親和性が低下することで、非特異性を同定できるというものである。
ところで、in vitro評価系にDMSOを加えると、溶液中の酵素阻害剤の粒径分布が変化し、そのことにより阻害活性が低下した可能性も考えられた。そこで、本ナノテクノロジープラットフォームを利用した研究では、様々なDMSO濃度下における酵素阻害剤の粒径分布を解析することとした。
 その結果、後述の通り、DMSO添加条件下でも、酵素阻害剤の粒径分布に変化は見られなかったことから、上述DMSO摂動法の作業仮説は支持された。

2.実験(Experimental)
〈使用装置〉
九州大学分子・物質合成プラットフォーム
動的光散乱測定装置(Malvern社製Zetasizer Nano ZS)
〈方法〉
上記装置を用いて、DMSO/バッファー混合溶液中における酵素阻害剤の粒径分布を測定した。終濃度におけるDMSO濃度は10-20% (v/v)とした。評価化合物は、α−キモトリプシン阻害剤のchymostatin, rutin, quercetinと、β―ラクタマーゼ阻害剤のpenicillin G, potassium clavulanate, phloretin, rottlerinであった。

3.結果と考察(Results and Discussion)
測定の結果、酵素阻害剤の粒径分布は、溶液中のDMSO濃度に依らず一定であった。このことから、DMSO摂動条件下における酵素阻害剤の阻害活性の低下は、DMSOを添加したことによる酵素阻害剤の粒径分布の変化によるものではないことが示された。よって、DMSO摂動条件下における酵素阻害剤の阻害活性低下は、酵素活性部位に対して非特異的な阻害様式を示唆するものであるというDMSO摂動法の作業仮説が支持された。

4.その他・特記事項(Others)
測定にあたり、ご指導頂きました九州大学大学院工学研究院応用化学部門森健准教授に深謝致します。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) Keisuke Tomohara, The Third International Symposium on Toyama-Asia-Africa Pharmaceutical Network, 平成30年9月11日。
(2) Keisuke Tomohara, Isao Adachi, Hitoshi Kesamaru, Takeru Nose, 10th International Peptide Symposium. 平成30年12月6日。
(3) 友原啓介、長谷川直人、足立伊左雄、野瀬健、日本薬学会第139年会, 平成31年3月21日。

6.関連特許(Patent)
なし。

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