利用報告書
課題番号 :S-18-MS-1080
利用形態 :施設利用
利用課題名(日本語) :ESR法を用いたアンモニウム形Y型ゼオライトの酸素欠損評価
Program Title (English) :Evaluation of Oxygen vacancy for ammonium form Y type zeolite using ESR method
利用者名(日本語) :久保田 恒喜
Username (English) :K.KUBOTA
所属名(日本語) :山梨大学大学院医工農学総合教育部
Affiliation (English) :Integrated Graduate School of Medicine, Engineering, and Agricultural Science, University of Yamanashi
1.概要(Summary )
ゼオライトは、アルミノケイ酸塩の化合物で電荷保障アンモニウム形Y型ゼオライトは焼成のみで強い蛍光を示すことがS.Hayashiらによって報告されている。この報告では、焼成時に生じた酸素欠損による励起順位が蛍光に関与すると考えられている。しかしながら、この報告では、空気雰囲気下での焼成を行ったのみであり直接酸素欠損を測定していない。そこで、酸素欠損により生じる空孔を直接評価するため。電子スピン共鳴法により各温度および雰囲気ごとのESRスペクトルを比較し、酸素欠損を評価した。
2.実験(Experimental)
分子科学研究所内の電子スピン共鳴装置(Bruker E-500)にて焼成前のゼオライト(raw試料)および焼成後のアンモニウム形Y型ゼオライトをESRチューブ(φ4㎜×200㎜ の石英管)に充填し、直方体キャビティを用いて室温にてX-バンド(9.78GHz)で測定を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図-1に空気雰囲気下で焼成した試料のESRスペクトルを示す。強い蛍光を示す焼成温度280℃および350℃の試料は、ピークを確認できる。これは、温度を上げたことによりゼオライト骨格内に不対電子ができたためであると考えられる。消光する焼成温度600℃での試料では、ピークが消滅する。これは、350℃焼成の時に生成していた不対電子が消失したためであると考えられる。これらの結果は、蛍光の関係とともに考えると280℃、350℃では酸素欠損により不対電子が生成し、600℃では酸素欠損サイトに空気中の酸素が戻るためピークが消失したと考えられる。共鳴周波数と共鳴磁場からg値を求めるとg=2.060であった。このg値をゼオライト骨中で確認できE’センター(酸素空孔サイト)g=2.003と比較するとより大きな値である。これは、クライオスタットユニットがついたキャビティとは異なる種類のキャビティで測定を行ったため、Mn2+の低磁場側から数えて3本目もしくは4本目のピークg3=2.034、g4=1.981を用いてノーマライズする必要があるためである。今回の測定により、蛍光とESRスペクトルには関係性があることが明らかとなった。より正確にg値の測定を行い、蛍光と不対電子との関係を明らかにしていきたい。
4.その他・特記事項(Others)
[なし]
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
[なし]
6.関連特許(Patent)
[なし]