利用報告書

Fe-Mn系軟磁性材料のメスバウアー分光測定
昆竜矢1), 今岡伸嘉2)
1) 国立研究開発法人産業技術総合研究所 磁性粉末冶金研究センター

課題番号                :S-19-NI-0026

利用形態                :共同研究

利用課題名(日本語)    :Fe-Mn系軟磁性材料のメスバウアー分光測定

Program Title (English) :Mössbauer spectroscopy of Fe-Mn soft magnetic materials

利用者名(日本語)      :昆竜矢1), 今岡伸嘉2)

Username (English)     :T. Kon 1), N. Imaoka2)

所属名(日本語)        :1) 国立研究開発法人産業技術総合研究所 磁性粉末冶金研究センター

Affiliation (English)  :1) Magnetic Powder Metallurgy Reserch Center, National Institute of ADVANCED INDUSTRIAL SCIENCE AND TECHNOLOGY (AIST)

 

 

1.概要(Summary )

本研究では、Fe-X系軟磁性材料の材料特性の発現機構の解明を目指す。解析対象とするFe-X系軟磁性材料はα-Feと微量の添加元素からなる金属粒子であり、湿式合成を用いて作製されたナノフェライトを水素還元することで得られる。一例としてFe-Mn系軟磁性材料の場合、飽和磁化 (Ms)<230 emu/g, 保磁力>1 Oeが磁気特性として確認されている。一般的な軟磁性材料である電磁鋼板と比較した場合、高周波特性に優れ、また試料形状が粒子であることため成型が容易であり、より複雑な形状の最終製品への適応が期待される。 一方でその材料特性の発現機構については未解明の点が多い。飽和磁化に着目すると、母相となるα-Fe の飽和磁化218 emu/g 以上の値をとっており、既存のメカニズムでは説明が困難である。

本研究では磁気特性、材料組織および添加元素の影響を明らかにし、より先進的な軟磁性材料の開発に取り組む。このため、Fe-Mn軟磁性粉末を対象とし、名古屋工業大学にてメスバウアー分光法を用いて局所的な磁気特性の評価を行うことで、マクロな磁気特性との関連性を明らかにすることを本研究の目標とする。

2.実験(Experimental)

2.1Fe-Mn軟磁性粉末の合成

Fe-Mn軟磁性粉末は湿式合成によるFe-Mnナノフェライト合成と、ナノフェライトの水素還元によるFe-Mn軟磁性粉末の作製の二つの工程で作られる。湿式合成では、水溶液の濃度、反応時の反応槽中のpHを変え、合成を行った。水素還元は水素雰囲気中で室温から950℃まで昇温し、1時間保持後急冷を行った。

2.2メスバウアー分光

名古屋工業大学のメスバウアー分光装置を用いて、合成されたFe-Mnナノフェライトと還元後のFe-Mn軟磁性粉末について分析を行った。各試料は乳鉢で粉砕し、アルミ箔で挟んだ状態で、通常の透過法によるメスバウアー分光測定を行った。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

Fe-Mn軟磁性粉末のメスバウアースペクトルは典型的なα-Feの構造を示し、これまでの分析結果と一致した。また、それ以外の結晶構造は確認されなかった。Fe-Mnナノフェライトのメスバウアースペクトルについては、主に、スピネル型構造に対応したスペクトルが得られたことから、スピネル型構造を持つマグネタイト(Fe3O4)およびマグへマイト(γ―Fe2O3)が主相として考えられる。

また、スペクトルのピーク強度比の関係から理想的なマグネタイトと比較し、Fe2+サイトに欠陥が多いと考えられる。強度比と飽和磁化について相関性が見られたことから、湿式合成の条件を変え、両者の相関性を明らかにすることが今後の課題として示された。

 

4.その他・特記事項(Others)

なし

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

なし

6.関連特許(Patent)

なし

 

©2026 Molecule and Material Synthesis Platform All rights reserved.