利用報告書
課題番号 :S-16-CT-0064
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :FZ法を用いた無機蛍光性材料の作製
Program Title (English) :Preparation of inorganic luminescent materials by the floating-zone method
利用者名(日本語) :砂原 克彦1), 山中明生1)
Username (English) :SUNAHARA Katsuhiko1), YAMANAKA Akio1)
所属名(日本語) :1) 千歳科学技術大学大学院光科学研究科
Affiliation (English) :1) Graduate School of Photonic Science, Chitose Institute of Science
and Technology
1.概要(Summary )
千歳科学技術大学大学院光科学研究科では、光科学と光技術をキーワードに化学・生物科学から電子・通信工学、さらに情報・人間工学まで幅広い学問領域での教育研究を行っている。本研究科博士前期課程では、幅広い知見を有する高度専門職業人の育成を目的として、学生の研究分野とは異なる分野の研究手法を体験させる「交流実験科目」を配置し、学生に履修させている。そのなかで「光システム実験」は、化学・生物科学系あるいは情報・人間工学系の学生を対象とし、レーザ等に用いられる無機蛍光性材料の作製と評価を通じて、電子材料工学の開発方法を学ぶことが目的である。2016年度の受講学生である砂原は、有機材料系の研究経験を有しているので、本実験では代表的無機蓄光性材料の作製と蛍光性の評価を行った。
2.実験(Experimental)
蛍光体の多くは粉末の状態で利用されることが多く、そのため作製法としては固相反応法や共沈法が用いられている。しかし本実験ではレーザ等に用いられる単結晶まで作製することとした。工業的にはチョクラルスキー法により単結晶育成が行われるが、高価な装置や部品が必要である。そこで千歳科学技術大学・分子物質合成プラットフォームに設置された赤外線加熱単結晶製造装置(FZ炉)を利用した。母体材料としてはSrAl2O4を選び、蛍光性賦活剤はEu、蓄光性賦活剤はDyとした。加えてTi,Crなどの遷移金属の添加も試みた。実験手順は以下のとおり。
(1) 出発原料の秤量と混合
(2) 混合原料を電気炉中で焼成(固相反応)
(3) 焼成体から単結晶育成用の原料棒を作製
(4) 赤外線加熱単結晶製造装置により単結晶作製
(5) 作製試料の蛍光性と蓄光性を評価
3.結果と考察(Results and Discussion)
計画では単結晶の作製まで予定したが、原料調整に時間を要したため、赤外線加熱単結晶製造装置中で溶融固化した多結晶試料の作製に止めた。図1の写真は、作製した多結晶試料である。右からEu,Dyの共添加(SrAl2O4:Eu,Dy)、Ti添加(SrAl2O4:Ti)、V添加(SrAl2O4:V)、そしてCr添加(SrAl2O4:Cr)である。SrAl2O4:Eu,Dyには顕著な蛍光性と蓄光性が確認できたが、遷移金属添加では蛍光性・蓄光性ともに見られなかった。
図1 FZ法で作製した多結晶試料
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。







