利用報告書
課題番号 :S-19-MS-1018
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :KI結晶中に生成したAgIナノ結晶の光学応答の研究
Program Title (English) :Optical response of AgI nanocrystals in a KI crystal matrix
利用者名(日本語) :河相武利, 沢田弘一
Username (English) :T. Kawai, K. Sawada
所属名(日本語) :大阪府立大学・理学系研究科
Affiliation (English) :Osaka Prefecture University, Graduate School of Science
1.概要(Summary )
結晶サイズがナノスケールになると、量子効果のひとつである閉じ込め効果によって、励起子遷移エネルギーが高エネルギー側にシフトすることが知られている。アルカリハライド結晶中のナノ結晶としては、CuCl等の銅ハライドのナノ結晶の研究がよく知られているが、同じ貴金属ハライドである銀ハライドのナノ結晶の研究は大変少ない。本研究では、30年以上前に引き上げ法により作製した、AgIを微量に添加したKI結晶を研究対象とした。30年という長期間、室温で熱処理されていると考えられ、Ag+イオンの凝集によるAgIナノ結晶の生成が期待されるからである。
2.実験(Experimental)
30年以上前に作製したAgIを微量に添加したKI結晶(KI:AgI結晶)の吸収スペクトルは我々の実験室で測定した。発光スペクトルや励起スペトルの測定は、持ち込んだ液体窒素用クライオスタットの冷却ステージに試料を取り付け、液体窒素温度で分子科学研究所・機器センターの高感度蛍光分光光度計(SPEX Fluorolog 3-21)を用いて行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図に、液体窒素温度でのKI:AgI結晶の吸収・発光・励起スペクトルを示す。矢印は、閃亜鉛鉱型構造のAgIバルク結晶の励起子遷移エネルギーを示している。吸収スペクトルでは、2.94eVに吸収の立ち上がりが見られる。そのエネルギー位置はAgI結晶の吸収端に近いことから、AgIナノ結晶が生成されていることが分かる。吸収端の少し高エネルギー側の3.05eVに吸収ピークが観測されるが、それはAgIナノ結晶のZ12励起子吸収に相当すると考えられる。バクル結晶から約130meV高エネルギー側であるが、それは閉じ込め効果に依るものと考えられる。また、3.7eV付近にZ3励起子による吸収も観測され、こちらも閉じ込め効果によって高エネルギー側にシフトしている。
Z3励起子吸収バンドを光励起すると、吸収端近傍の3.0eVに発光バンドが観測される。これは、AgIナノ結晶のZ12励起子に起因した発光であると考えられる。一方この発光の励起スペクトルは、吸収バンドと異なるエネルギー位置に応答を示す。これは、サイズの異なるAgIナノ結晶が分布し、励起スペクトルに見られる応答エネルギーは、特定のサイズのAgIナノ結晶の励起子遷移エネルギーを反映しているものと考えられる。実験では、詳細な受光エネルギー依存性なども測定し、現在AgIナノ結晶の閉じ込めを受けた励起子の離散的なエネルギー準位について解析・検討を行っているところである。
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。







