利用報告書
課題番号 :S-16-KU-0038(NPS16050)
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :Knoevenagel縮合を用いた有機蛍光分子の共役伸長と固体発光性への影響の評価
Program Title (English) :Influences of π-extension on solid state luminescence of organic fluorescent molecules
利用者名(日本語) :大川原 徹, 山本 竜太郎
Username (English) :Toru Okawara, Ryutaro Yamamoto
所属名(日本語) :北九州工業高等専門学校
Affiliation (English) :National Institute of Technology, Kitakyushu College
1.概要(Summary )
ビピロールは青色発光性を示す複素環化合物であり、2001年にC. M. Cheらによってその有機ELデバイスへの応用が報告されて以来、数多くの発光性に関する研究が報告されてきた。我々は2015年に固体状態のビピロールがその結晶中における分子間相互作用の強さに応じて発光波長が変化することを報告している[2]。しかしこれまでに、ビピロールを基本骨格として有する色素による緑色発光、赤色発光などは達成されていなかった。我々は今回、新たに共役系を拡張した新規ビピロール(図1)を設計し、合成、質量分析装置を用いた同定、および単結晶X線構造解析による三次元構造の評価を行った。
図1. 共役拡張型ビピロール1a-4bおよび出発原料であるビピロール5a, 5b.
2.実験(Experimental)
目的化合物の合成は全て利用者の所属機関である北九州高専で行い、さらに赤外分光スペクトル、核磁気共鳴スペクトルなどで同定を行った。さらなる詳細な評価のため、受入先機関である九州大学 分子・物質合成プラットフォームと連携し質量分析装置による分子量の確認、一部の単結晶が得られたサンプルについての単結晶構造解析を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
単結晶X線構造解析の測定結果を以下に示す(図2)。これまでに化合物2bの構造解析には成功しており、その成果をChemsitrySelect誌に報告した。また、1a、2a、3aの構造解析にも別途成功し、それらについては今後学術論文にて報告予定である。共役拡張ビピロールは全て平面性の高い構造をしており高い発光性を示すためには非常に有利であることが分かった。
図2. 化合物(a)2aおよび(b)3aの結晶構造解析結果
また、質量分析装置を用いて下記のビピロール誘導体の錯体を合成し、分析を行った(図3)。
図3. ビピロール錯体の構造と質量分析結果
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 日本化学会第97春季年会, 平成29年3月18日(講演番号3K8-54)
6.関連特許(Patent)
なし。







