利用報告書
課題番号 :S-18-JI-0002
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :On tissue誘導体化によるラット脳イメージング
Program Title (English) :Rat brain imaging by on tissue derivatization
利用者名(日本語) :伊藤利将
Username (English) :T.Ito
所属名(日本語) :積水メディカル株式会社
Affiliation (English) :Sekisui Medical Co., Ltd.
1.概要(Summary )
マスイメージングにおいて、On tissue誘導体化はイオン化効率が低い分子に対し、検出感度を向上させる有効な手法である。本研究では、切片間の比較定量を行うために、組織のイオン化抑制を加味した定量系の開発を行った。測定対象とするGABAの測定には、第一級アミンの誘導体化試薬であるmTRAQ試薬(⊿0, ⊿4)を用いた。
2.実験(Experimental)
厚さ10μmのラット脳の連続切片を3枚用意し、これらに対し、それぞれmTRAQ⊿0試薬を自動スプレー装置で塗布した。続いて、予めmTRAQ⊿4で誘導体化したGABA標準溶液を内部標準として、自動スプレー装置を用いて切片に塗布した。最後にImagePrepを用いてDHBマトリックス溶液を切片に塗布し、solariXの測定試料とした。測定は空間分解能200μmで実施した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
組織内のGABAを内部標準のGABAで割ることにより、ノーマライズしたGABA分布像を得た。3枚の連続切片において腹側線条体に同様の関心領域を設定し、組織内GABA濃度(ratio)を比較したところ、ほぼ同一の値が得られた(CV=0.96%)。この結果から、本測定法が再現性があり、組織内のイオン化抑制効果を加味し、さらにマトリックス塗布のばらつきをキャンセルする有効な定量法であることが示された。
図1 ラット脳における関心領域内(白枠)のGABA濃度測定の再現性
4.その他・特記事項(Others)
今回の技術代行支援にご協力を頂いた宮里朗夫博士に深く感謝致します。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1)Toshimasa Ito, Masashi Hiramoto, Satoshi Itou, Tsutomu Negama, 第33回日本薬物動態学会/第22回MDOシンポジウム合同国際学会, 平成30年10月1日
(2)伊藤利将, 平本昌志, 伊藤諭史, 根釜務, 第10回JBFシンポジウム, 平成31年2月12日
6.関連特許(Patent)
準備中