利用報告書

PBTの分子量測定
金丸直史1)
1) ライオン㈱

課題番号 :S-13-JI-0002
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :PBTの分子量測定
Program Title (English) :Molecular weight measurement of PBT
利用者名(日本語) :金丸直史1)
Username (English) :N. Kanamaru1)
所属名(日本語) :1) ライオン㈱
Affiliation (English) :1) LION, Co., Ltd.

1.概要(背景、研究目的等)
モノフィラメントの原料、紡糸条件は多岐にわたり、同一成分であってもフィラメントとしての物性は大きく異なることが予測される。本研究では、種々の条件で作製したPBT(ポリブチレンテレフタレート)製用毛の①GPCによる分子量測定②動的粘弾性によるゼロせん断粘度の測定を行い、物性値の把握をするとともに、両評価方法の関連性を見出すことを目的とした。
2.実験-1(利用した装置のリスト)
①高速GPC装置: HLC8020(東ソー社製)
②レオメーター:AR-2000ex (TA Instruments社製)

2.実験-2(プロセス、ノウハウ)
①カラムはTSKgel GMHXL7.8*300、溶離液としてクロロホルムを用い、HFIP:クロロホルム=1:1の溶液に1g/lとなるように溶解した試料を200μl注入、流速1.0ml/min.、測定温度40℃で分離を行った。なお分子量は標準PSで校正した。
②試料は、円錐―円板(円錐角4°、円錐径25mm)でクランプし測定温度240℃にて、周波数依存性モードで動的粘弾性の測定を行った。横軸を角周波数ω、縦軸を損失弾性率G”としたグラフを作成し、そのグラフから、角周波数ωが0のときの損失弾性率を内挿し、ゼロせん断粘度を算出した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
実験1および2の結果を表1に示す。
表1

サンプルP,Q,R,Sは原料、紡糸条件の異なるPBT用毛であるが、分子量は各種条件により異なり、数平均分子量は2.54~3.84×104、重量平均分子量は4.61~7.52×104の範囲であることが明らかとなった。分子量は主に原料に由来すると考えられるが、紡糸条件によって結晶状態が異なると推察される。また、ゼロせん断粘度も各種条件によって異なり、107~324Pasの範囲内にあることがわかった。序列は分子量と同じであるが、これはゼロせん断粘度が重量平均分子量の3.4乗に比例するためであると考えられる。GPCによる分子量測定と比較して、ゼロせん断粘度の測定は簡便且つ再現性が高いため分子量の序列を検討するためには有用な手法であると考えられる。

4.その他・特記事項(Others)
本研究の測定にご協力、ご指導いただいた北陸先端科学技術大学院大学マテリアルサイエンス研究科山口政之教授に深く感謝いたします。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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