利用報告書

RAFT重合法による中間水含有両親媒性ブロック共重合体の合成とイオン応答性評価
上原 広貴1), 柏﨑 亜樹2)
1) 九州大学大学院工学府, 2) 九州大学先導物質化学研究所

課題番号 :S-18-KU-0018
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :RAFT重合法による中間水含有両親媒性ブロック共重合体の合成とイオン応答性評価
Program Title (English) :Synthesis and ion-responsivity of intermediate water contained amphiphilic block copolymer
利用者名(日本語) :上原 広貴1), 柏﨑 亜樹2)
Username (English) :H. Uehara1), A. Kashiwazaki2)
所属名(日本語) :1) 九州大学大学院工学府, 2) 九州大学先導物質化学研究所
Affiliation (English) :1) Graduate school of engineering, Kyushu University, 2) Institute for Materials Chemistry and Engineering (IMCE), Kyushu University

1.概要(Summary )
膵臓がんは難治性のがんとして知られている。これは膵臓がん組織に存在する豊富な間質に起因している。このがん組織の豊富な間質は抗がん剤のがん組織内への透過性を低下させ、がんの治療効率を著しく悪化させる。したがって、間質の阻害を克服し、効率的に標的がん細胞内へ取り込ませる薬剤の開発することで上述の問題点を解決できるのではないかと着想した。高分子薬剤の細胞内取り込み現象は初期の高分子-細胞間相互作用に大きく依存することが明らかとなっており、細胞と高い親和性を有する高分子薬剤は多くの分子を細胞内へ移行させることが可能であると考えられる。一方で、がん治療において患者への負担が大きい副作用の軽減のために正常組織への輸送・正常細胞への取り込みは確実に忌避しなければならない。したがって、高分子-細胞間相互作用の制御による細胞種選択的な細胞内移行特性を有した高分子薬剤の開発が急務である。さらに、近年では高分子薬剤の血中循環に対しても、高分子薬剤自身が免疫原性になっていることが指摘されており、高分子薬剤の血中滞留性は材料設計における重要な要素の一つとなっている。先行研究により、高分子の水和構造を制御することで血球細胞と正常・がん細胞の接着選択性を実現できることが明らかになっている。本研究では高分子の水和構造に着目し、水和構造の異なる高分子ミセルを作製しがん細胞への親和性を評価した。
2.実験(Experimental)
 高分子は側鎖にエチレングリコールユニットを2もしくは3つ有するアクリレート(PMe2A or PMe3A)とポリスチレンの両親媒性ブロック共重合体を設計し、RAFT重合によって合成した。PMe2AとPMe3Aの水和構造をDSC測定によって解析した。合成した高分子を水中で分散させることによってミセル化を行った。このとき、DLS(大塚電子製)を使用し、粒径分布の評価を行った。次に、作製した高分子ミセルに疎水性の蛍光プローブであるピレンを内包させ、がん細胞に処理することでがん細胞との親和性を評価した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
 合成高分子を1H NMRによって同定し、目的の化合物が得られていることが分かった。また、本研究で合成したPMe2/3A-PS類はDLS測定によってナノメートルサイズの粒子を形成していることが明らかとなった。また、これらの粒子は細胞と相互作用を引き起こし、細胞膜上もしくは細胞内へ取り込まれることが明らかとなった。
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) H. Uehara, A. Kashiwazaki, S. Kobayashi and M. Tanaka, 第67回高分子学会年次大会, 平成30年5月23日
(2) H. Uehara, S. Kobayashi and M. Tanaka, 第40回日本バイオマテリアル学会大会, 平成30年11月12日
6.関連特許(Patent)
なし。

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