利用報告書
課題番号 :S-19-NM-0050
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :Raman分光によるSiの結晶構造解析
Program Title (English) :Crystal Structure Analysis of Si by Raman spectroscopy
利用者名(日本語) :近藤晃弘1), 上杉秀雄1)
Username (English) :A. Kondo1), H. Uesugi1)
所属名(日本語) :1) 三井金属鉱業株式会社
Affiliation (English) :1) Mitsui Mining & Smelting Co., Ltd.
1.概要(Summary)
Raman分光では,スペクトル形状からSiの結晶性(結晶SiとアモルファスSiの存在比率)を評価することができる[1].特にアモルファス成分が多く含まれる低結晶性Siでは,一般的なX線回折法ではバックグラウンドとアモルファスSi由来のハローパターンとの分離が困難で,結晶性の評価が困難な場合があり,Raman分光による評価法が特に有効となる.本課題では,試作した低結晶性SiについてRaman分光測定を行い,結晶性SiとアモルファスSiの比率を算出した.
複数の試料を測定した結果,高結晶Siと低結晶Siの定量的な比較が可能となり,低結晶Siの結晶性を算出することにより,これまで判別困難であった低結晶Si間の数値比較が可能となった.
2.実験(Experimental)
【利用装置】
ナノフォトン社製 RAMAN plus
【実験方法】
アモルファスSiのRaman分光測定では,試料に高強度のレーザーを照射すると再結晶化が起こり,Siの結晶性を正しく評価できないことがある.そこで,本課題ではライン状のレーザーを採用し,試料に照射される単位面積当たりのエネルギーを分散させることにより,Siの再結晶化を抑制した.
各試料に対して異なる領域で10回測定し,得られた結果を平均化することで平均スペクトルを取得した.次に,得られたスペクトルを文献[2]に記載の方法を参考にピーク分離し,結晶SiとアモルファスSiのピーク面積比(存在比率)を算出した.
3.結果と考察(Results and Discussion)
本課題で得られた測定結果について,高結晶性Siのピーク面積を100とした時の結晶Si成分の相対値を表1に示す.高結晶Siと比較するとサンプルA,B,Cの低結晶Siは結晶Si成分比率が小さく,本測定により低結晶Siの結晶性を数値化することが可能となった.また,低結晶Siの中でも,サンプルAはサンプルB,Cと比べ結晶性が低いことが明らかとなった.このように結晶性の度合を数値として表現することができるため,定性的な結晶性評価だけでなく,低結晶Si間の数値比較をすることが可能となった.
Table. 1 測定サンプルの結晶性比較
試料 結晶Si ピークの相対値
高結晶 Si 100
サンプル A 11.8
サンプルB 36.8
サンプルC 25.4
4.その他・特記事項(Others)
NIMS李潔氏、李香蘭氏の支援を受けた。
参考文献
[1] 大成 誠之助, 固体スペクトロスコピー, 裳華房, 1994.
[2] Han et al., J. Appl. Phys. 94 2930 (2003)
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし.
6.関連特許(Patent)
なし.







