利用報告書
課題番号 :S-17-NI-0031
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :Rh触媒を用いた単層カーボンナノチューブの観察
Program Title (English):TEM Observation for SWCNTs grown from Rh catalysts
利用者名(日本語) :岡田拓也1), 小川征悟1), 藤井貴之1),丸山隆浩2)
Username (English) :T. Okada1), S. Ogawa1), T. Fujii1), T. Maruyama1)
所属名(日本語) :1) 名城大学大学院理工学研究科, 2) 名城大学理工学部
Affiliation (English):1)Graduate School of Science and Technology、Meijo University, 2)Department of Applied Chemistry、Meijo University
1.概要(Summary )
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)のエレクトロニクス応用実現には作製温度の低温化が望まれている。我々のグループでは,Rhを触媒に用いることで300℃程度の低温においてもSWCNTが生成することを報告している。本研究では,Rh触媒からのSWCNTの生成メカニズムを明らかにするため,透過電子顕微鏡(TEM)を用いてTEM観察を行った。
2.実験(Experimental)
SWCNT作製は高真空タイプのコールドウォール型の化学気相成長(CVD)装置により行った。触媒にはAl2O3/SiO2/Si基板上に堆積させたRh粒子を用い,炭素原料にはエタノール蒸気を用いた。作製したSWCNTは,ラマン分光,走査電子顕微鏡(SEM)および透過電子顕微鏡(TEM)により,評価した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1に最適エタノール圧力下において,作成温度600℃で成長させたSWCNTのTEM像を示す。TEM像から,Rh触媒粒子(図1の黒い部分)に加え,直径1.0~1.2 nmのSWCNTが生成している様子が観察された。本試料に対し,ラマン測定を行ったところ,RBMピーク波数から見積もった直径も同様の範囲に存在していたことから,Rh触媒から成長したSWNCTの直径が1.0~1.2 nmであることが確認できた。また,昨年度に本ナノテクプラットフォームの支援を受けて実施したRh触媒粒子のTEM観察からは,Rh触媒の粒径が1~2 nm程度であった。以上から,Rhを触媒に用いた場合,触媒粒径と同程度,もしくは,わずかに大きな直径をもつSWCNTが生成していると考えられる。すなわち,Rh触媒の粒径を制御することで,SWCNT直径を変化できる可能性がある。
図1 Rh触媒粒子から成長したSWCNTとRh触媒粒子のTEM像.
4.その他・特記事項(Others)
本研究の一部は,私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「グリーンイノベーション研究拠点形成プロジェクト」の支援を受けました。TEM観察では名古屋工業大学の日原岳彦教授のお世話になりました。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) T. Maruyama, Mater. Express Vol. 8(2018)p.p.1-20.
(2) T. Maruyama, T. Saida, S. Naritsuka, S. Iijima, ICCMT 2018, 平成30年3月16日.
(3) T. Maruyama, A. Kozawa, T. Saida, S. Naritsuka, S. Iijima, IUMRS-ICAM 2017, 平成29年9月1日.
(4) T. Maruyama, H. Kondo, A. Kozawa, T. Fujii, T. Saida, S. Naritsuka, S. Iijima, GCET-2017, 平成29年4月21日.
6.関連特許(Patent)
なし